ますますリスク増す中国経済 海外へ資金を移動する投資家が増えている

2023/11/13 更新: 2023/11/13

中国の投資環境の不安定さは、多くの人々を躊躇させている。現在、中国経済が抱える問題は中国への資金の流入が枯渇する事だけではない。多くの人々が中国から資金を海外へ移動しようとしているのだ。

ワシントンに本部を置く投資会社「RockCreek Group」の創設者で最高経営責任者(CEO)のアフサネ・ベシュロス氏は、11月11日、ブルームバーグ社のインタビューにおいて「多くの人々が中国から資金を引き上げている」と述べた。

「実際、多くの人々は公には言わない。彼らは別の場所で次の工場を建設した後で、中国の工場を移転させるのだ」とベシュロス氏は語った。 

また「現在私たちが目撃しているのは、中国への外資流入の減少が始まったことである」と指摘した。 

RockCreekは、テクノロジーとビッグデータを駆使するグローバル投資会社で、約140億ドル(約2兆1244億円)の資金を管理しており、主に金融技術、気候、健康、教育分野への投資に集中している。 

中国の人口高齢化、不動産業界の巨額の貸し付け、そして一般市民が貯蓄を好み、消費を控える傾向などの問題は、一向に改善される兆しがない。 

ベシュロス氏は、米国の財務長官ジャネット・イエレン氏が10日に中国の国務院副総理、何立峰氏と会談した際に述べたように、中国共産党(中共)政府は多くの業界に大規模な補助金を提供していると述べた。

ベシュロス氏は、数年前に中国の民間企業に投資した際、投資家たちは10年後やそれ以降に投資を回収できると考えていたかもしれないが、習近平氏の下でのビジネス環境は投資家をますます不安にさせていると指摘した。

ベシュロス氏は、中国国内で成功している民間投資家たちが、アリババの創業者ジャック・マー氏のように過度の成功が原因で懲罰されるリスクを恐れ、国外の中国企業への投資に転じていると述べている。

ベシュロス氏の観察したこのミクロ状況は、マクロなデータと一致している。ロイターが分析した中国の国際収支の初期データによると、中国は第3四半期に118億ドル(約1兆7905億円)の外国直接投資(FDI)の赤字を記録した。

これは、中国政府が1998年からデータを作成して以来、初めて四半期ごとの外国投資の赤字が発生したことを意味する。

主な原因は、地政学的緊張が西側企業に「リスク除去」を促し、中国への投資を止めさせたり、中国事業からの利益を海外に送金させたりしているからである。 

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、今年9月末までの6四半期連続で、外国企業が中国からの利益を合計1600億ドル(約24兆2792億円)以上海外に送金しており、その規模は驚くべきものである。 

経済学者や企業のトップは、一連の要因が外資の利益流出を引き起こしていると述べている。

エコノミストや企業幹部らは、米中金利差の拡大など複数の要因が海外利益の流出につながり、西側国債の収益性がより魅力的になっていると述べている。

連邦準備制度理事会(FRB)とほとんどの中央銀行は高インフレに対処するために利上げを続けているが、中国の不動産市場の長期低迷を受けて中国中央銀行は数回利下げを行っている。

中国の経済成長の鈍化と地政学的緊張の激化は、多くの外国企業がより良い投資先を積極的に探し、国際企業がサプライチェーンの再考や中国への投資を見直すことを促している。

林燕
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