米中競争関係激化 「中共は変わらない」=米議会報告書

2023/11/17 更新: 2023/11/17

米中経済・安全保障調査委員会(USCC)は11月14日に2023年の年次報告書を発表し、中国が過去40年で最悪の経済危機に瀕しており、中国共産党(中共)の経済管理能力が疑問視されていることを明らかにしている。

報告書は、2024年の米中関係は、中国の国内情勢の変化によって影響を受ける可能性があるとしている。

こうした不確定要素や、米中間の「緊張」と「雪解け」についての議論が続く中、「2024年の見通しとしては、両国間の戦略的競争が続き、システム的な競争が激化する」としている。

米中首脳会談は口先だけ、中共は実行せず

報告書は、中共は国内政策や、外交政策を変える兆しを見せておらず、会談を行なっても具体的な行動に移さないと指摘している。

「中共は、国家安全保障、経済、貿易といった基本的な問題について、米国との協力を拒否し続けている。昨年来の一連の訪問やその他の外交活動も、中共政権に大きな変化をもたらすことはできなかった」

「中共は現在、米国との外交を、米国からの圧力を一時的に抑止し、遅らせる手段とみなしているようだ」と報告書は説明している。

「中共が方針を変えない限り、米中関係の真の改善は実現できない。新常態は、米国が中共の日増しに強硬化する政策や、中国人民に対するより厳しい統制を一方的に受け入れることであってはならない」と報告書は結論づけた。

深刻な景気不況 中共の政策を疑問視

中共政権は2022年12月に突然方針を転換し、3年間続けた厳しい防疫対策を放棄した。都市封鎖の終了は、低迷する中国経済を復活させるだろうと広く期待されていたが、中国経済は当初は回復したものの、今のところ成長は低迷している。

「経済の低迷は、中共の経済管理能力や、長期的な成長を維持する経済モデルに対する新たな疑念を生んでいる」 と報告書は述べている。

家庭や企業は消費や投資よりも、貯蓄をする。中国の不動産バブルの崩壊を加速させ、大手建設会社の倒産や銀行の破綻を招く可能性がある。

中国国内の専門家も含めて、USCCが訪れた専門家たちは以前から、輸出とインフラや不動産への投資に依存した成長モデルは持続不可能だと警告してきた。

しかし、中共は現状を変えるための措置をほとんど採っていない。なぜなら、市場の力により多く依存し、資金と意思決定権を消費者や民間企業家に委ねることで経済へのコントロールを緩めようとしないからだ。

中共は口先だけでサプライチェーンの移転を止めようとする

中共はますます不利になる国際環境に直面している。 米国をはじめとする先進工業国は、サプライチェーンを中国からシフトさせ、「中国依存リスク」を回避しようとしている。

このような悲惨な状況にもかかわらず、中共はこれまで、信頼回復を目的とした小規模の修正措置といった空疎な呼びかけにとどまっている。

その一方で中国国内の一部の経済データ(若年層の失業率など)の公表を停止し、また、中国で独立調査を行う欧米企業を取り締まった。

「これらの措置は、中国の長期的な軌道に対する懸念を煽り、海外からの直接投資をさらに抑制している」と報告書は述べている。

「これまでのところ、中共が米国や欧州との協力を強化しようとする努力は、具体的な行動よりも、言葉や抽象的な理念にとどまっている」

欧州は現在、米国に接近し、中共をシステム的な競争相手として認識し、「リスク回避」が必要だと考えている、と報告書は指摘した。

林燕
関連特集: 時事