ここ数年、中国人の間で「潤」が話題になっている。「潤」とは中国共産党(中共)の厳しい統制の下で、どのようにして人やお金を「潤す」ことができるのかという意味だが、 最近、日本で不動産を購入することが中国人の「海外脱出」の手段のひとつになっている。
中共外貨管理局の統計によると、2023年9月の資金純流出額は2016年以来最大の539億ドル(約7兆6496億円)に達した。この事態の直接原因は、中国の政治環境と経済状況の悪化だと考えられる。新しい「反スパイ法」の導入、台湾海峡や南シナ海での緊張の高まりにより、多くの外資系企業が投資をやめ、富裕層も資産の海外移転を加速している。
中国の富裕層が海外に資産を移すなか、その一部が隣国である日本に目を向けている。中でも中国人による「マンション爆買い」は日本で社会現象になっている。日本商工会議所の小林健会頭は、東京で住宅を購入する中国人富豪が多く、東京の住宅価格があまりにも上昇し、一般家庭には手が届かなくなったと苦言を呈した。
小林氏によると、東京の工場が移転した後、跡地にできた建物一棟を中国人が購入したケースもあるという。
中国人の日本不動産購入のピークは、大きく2つの時期に分けられる。
最初の時期は2014~15年だ。 当時は2020年の東京オリンピックが日本経済に好影響をもたらすと考えられていたため、東京の不動産市場は中国人にとってホットな投資対象となった。
2つ目の時期は2022年4月頃から始まった。中共当局が「ゼロコロナ」政策を実施した後、中国全土の都市が相次いでロックダウンされ、富裕層の海外脱出が増え、その一部が日本に移住している。ゼロコロナが撤廃された2022年末には、日本に「逃げ込む」中国人が小ブームとなった。
中国人が日本の不動産を購入する目的は、投資用から持ち家用にシフトしている。
欧米では外国人の不動産購入に規制を強めている国が多いため、日本でできるだけ多くの不動産に投資し、資産を日本に移したいという中国人が多い。
そして、日本には充実した医療設備があり、十分な介護を受けることができる。日本に留学している子供の住まいとして不動産の購入を考えている中国人もいる。
日本の不動産業者によると、多くの中国人富裕層は1億~3億円のタワマンに興味を持っており、中にはビル一棟の購入を検討している人もいるようだ。この不動産購入ブームは、東京の繁華街の不動産価格を徐々に押し上げている。
また、日本に流入した中国資本の一部は日本の観光消費市場に入り込み、一部の中国人は外国人観光客への消費税免税サービスを利用して利益を上げている。
東京の国税庁の調査によると、昨年、短期観光ビザで来日した一部の中国人が、免税のハイブランド品を大量に購入し、転売して利益を得ていた。
7人の中国人観光客が約77億円相当の高級品を購入したが、空港に到着したときには手ぶらで、購入品はどこにも見当たらなかった。税関の職員が質問したところ、「母国に郵送した」と答えたが、郵送の証拠を提示できなかった。
日本の追跡調査では、これらの中国人観光客は日本で高級品を購入し、日本で転売していることが判明した。 日本税関は7人の中国人に対し、10%の消費税約7億6千万円の支払いを要求したが、7人の中国人観光客はほとんど税金を支払わずに日本を出国した。
2023年には、毎月約500億ドル(約7兆1011億円)が中国から流出すると推定されている。巨額の中国マネーの動きから、日本は中国人が資金を脱出させる上位国になりつつある。
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