ナウル、台湾と断交し中国に鞍替え 米国要人が警告「中共は約束を守らない」

2024/01/21 更新: 2024/01/22

南太平洋の島国ナウルは15日、それまでの中華民国(台湾)との外交関係を断ち、中国と国交を結ぶと突然発表した。これにより、台湾と公式な外交関係を持つ国は現在、12か国になった。

台湾外交部の高官は「ナウル政府は先週末、新たな台湾総統に選出された頼清徳氏の勝利を祝福していた」として、今回のナウルによる断交は「極めて唐突だ」と非難した。

「経済支援」は釣り針についたエサ

台湾外交部の同高官によると「中国の当局者がナウルの政治家に対し、経済支援をちらつかせて言い寄っていた、とする情報がある」という。

近年、中国共産党は台湾を弱体化させるために、台湾と国交をもつ友好国の切り崩しを行っている。中共は、多額の経済援助などを交換条件にして、関係国に台湾との国交を断たせるとともに、中国との国交締結を迫るのだ。

加えて、南太平洋の赤道直下に位置するナウル共和国は、人口1.1万人ほどの小さな島国である。この少ない人口の国に、中国製品が大量に売れるわけではない。だとすれば、台湾からの離反を画策すること以外に、中共が「ナウルを欲しがる理由」は何であるか。

中共が虎視眈々と狙うのは、ナウルの「海」をふくむ、太平洋への海洋進出に資する「足がかり」であろう。

その前例として、2019年から明確に「親中」に傾いた南太平洋の国、ソロモン諸島がある。同年9月、ソロモン諸島は台湾と断交し、中共の中国と国交を樹立した。広い太平洋の上ではあるが、ナウルは、地理的にソロモン諸島の「隣国」である。

エサは釣り針についている、という当たり前の危険を、果たしてナウル政府はどれほど認識しているのか。ただ、時すでに遅く、ナウルは台湾と断交し、中共の中国と新たに国交を結んでしまった。

ナウルの台湾に対する断交決定を受けて、米国の対台湾窓口機関・米国在台協会(AIT)の理事長ローラ・ローゼンバーガー(Laura Rosenberger)氏は16日「ナウルに失望した」と表明した。

またローゼンバーガー氏は「中国共産党が、また台湾と国交をもつ国を(中国側に)引き込んだ。中国は、しばしば国交締結と引き換えに(経済援助などの)約束をする。しかしその約束は、最終的には果たされない」と非難した。

ローラ・ローゼンバーガー氏は「台湾の民主主義と繁栄」を賞賛するとともに、今後も引き続き「米台関係を深めていくこと」を約束した。

 

ナウルの断交決定を非難する米国在台協会(AIT)のローラ・ローゼンバーガー(Laura Rosenberger)理事長。(NTD新唐人テレビの報道番組より)

 

中共は「約束を守らない」のが常

中共の中国が「約束を守らない」のは、昔からのことである。

その中共に騙された事例は数多いが、最近の例を挙げるとすれば、昨年3月に長年にわたる台湾との国交関係を断絶して、代わりに中国との国交を樹立した中米ホンジュラスがある。

台湾との断交から10か月経ったいま、ホンジュラスの経済を支える主力の1つであるエビ養殖の関連産業は崩壊の危機に瀕している。

ホンジュラスが、国内産エビの新たな輸出先として期待した中国には、中国側があまりにも安値で買い叩こうとするため、全く市場が開拓できていない。

それまでの輸出先であった台湾に再びエビを売ろうとしても、すでに国交を解消した後なので優遇措置がなくなり、関税が20%引き上げられてしまった。

そのためホンジュラスは今、重要な輸出品であるエビの産業が壊滅的打撃を受けるなど、大きな経済損失を受けている。ホンジュラス国内のエビ養殖場は、すでに多くがつぶれたという。

被害を受けた第一の原因は「中共が約束を守らない」からである。しかし、そうした中共の狡猾な言葉を信じてしまったところに、自国の重大な過失があることにも気づかなければならない。要は、絶対に中共を信じてはならないのだ。

ホンジュラスは、国産エビの新たな市場を拓くため、韓国も視野に入れている。しかし韓国は、台湾の同盟国であることから「購入をしぶる可能性が非常に高い」とみられている。

ホンジュラス全国養殖協会(Andah)の責任者は「我々は全てを失った」と嘆いている。

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。