今年3月8日は「中国のファイアウォールを壊せ(拆牆運動、#BanGFW)運動」が始まって1周年となる、記念の日である。
ファイアウォール(Firewall)とは、もとは火災の延焼を防ぐための「防火壁」のことだが、コンピュータネットワークにおけるこの用語は「通過させてはいけない情報を止める壁」の意味をもつ。
そのファイアウォールが中国においては、中国共産党による非人道的な独裁体制を揺るがすような「海外からの真実の情報」を阻止する壁、という特殊な意味になる。
そこで今おこなわれている「中国のファイアウォールを壊せ」運動は、中共政権を倒し、中国に真の自由と民主をもたらすために必要不可欠のムーブメントとされている。
世界へ広がる「中国のファイアウォールを壊せ」
現在、この運動は世界中に広がっている。運動開始から1周年記念を機に米ロサンゼルス、サイパン島、豪州、タイ、アイスランド、オランダ、カナダなど各国の民主化推進団体や華人が集まり、同運動への連帯を示すとともに声援を送っている。
世界各地の民主化推進団体は連帯して、中国(中共)政府に対して、中共当局に拘束されている同運動の発起人である喬鑫鑫(きょう きんきん)氏の釈放を求めるとともに、「中国に敷かれたファイアウォール撤去」を呼びかけた。
喬鑫鑫氏は、米国政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の元ジャーナリスト。昨年5月、中共の越境逮捕の手が伸びていた滞在先のラオスで、現地警察によって不当逮捕された。喬氏は現在も、中共当局によって囚われたまま消息を絶っている。
喬氏は以前から「中共のファイアウォールは、中共が生き残るための最後の城壁だ」として、この壁の排除を呼びかけていた。
今月7日、同運動の責任者である劉棟玲氏や「悪人リスト(中国語:悪人榜)」発起人でもある活動家・林生亮氏は、デンマークの首都コペンハーゲンにある中国領事館前で抗議を行った。
林生亮氏は、中国共産党に対して「同運動の発起人である喬鑫鑫氏をはじめとする政治犯の釈放」を求め、中国に敷かれたファイアウォールの撤去を呼びかけた。
この日、劉、林両氏は中共のファイアウォール管理者の実名を連ねた、いわゆる「悪人リスト」を在デンマークの米、英、仏、カナダ、イタリア、スウェーデン、スイス、スロベニア、オランダ、フィンランド、スペインなどの国の大使館に提出。その「悪人」たちの、デンマークへの入国制限を求めた。
この「悪人リスト(中国語:悪人榜)」とは、中国共産党統治下の中国で、公権力を笠に着て、無辜の市民を迫害する悪人の情報を集めて、白日の下に晒すための「鏡」であり、またそれを推進するプロジェクトを指している。
「国民の覚醒が、中共を終焉させる」
今月9日、中国民主党や民主運動シンクタンク「對話中国」などの組織は、米ロサンゼルスの中国領事館前で抗議活動を行い、「喬鑫鑫氏の釈放」や「ファイアウォール撤去」を呼びかけた。
抗議活動の責任者である中国民主党の界立建氏は、次のように語った。
「中共のサイバー・ファイアウォールは、国民を騙し欺く邪悪な壁である。それと同時に、国民が真実を知る自由を奪う枷鎖(かさ)でもある」
「中共がこれまでにしてきた罪の数々が国民の前に暴かれた時、中共は終焉を迎えるだろう。だからこそ、中共は大金をかけてこの活動の発起人である喬鑫鑫氏を越境逮捕させた」
「中国国民が真相を知って覚醒することで、その反人類罪を追求されることを、中共は最も恐れている」
「無数の中国人を代表して、声を上げた」
今月10日、ニュージーランドのオークランドにある中国領事館の前でも「中国のファイアウォールを壊せ運動」を声援する集会が開かれた。
運動のボランティアである孟佳美氏は「喬鑫鑫氏の釈放」や「ファイアウォール撤去」を呼びかけた。孟佳美氏は次のように語って、決意を新たにした。
「喬鑫鑫さんは、昨年5月中共の越境逮捕に遭い、今なお投獄されている。この運動の発起人の1人でもある劉棟玲さんの中国にある自宅も、7月に警察の嫌がらせを受けた」
「南京の孫林さんは、警察に殺害された。言論の自由や知識の開放を切望する無数の中国人を代表して声を上げた彼らは、あまりにも大きい代償を払っている」
「 この1年、私たちは極度の困難と危険に直面してきたが、あきらめない。今後も、この活動をより強い信念で推し進めていく」
「より多くの人に、真相を知ってもらいたい」
今月10日、アイスランドの中国大使館前でも「中国のファイアウォールを壊せ運動」を声援する集会が開かれた。
同運動の初期のボランティアの1人であるアイスランド在住の周峰氏は、エポックタイムズの取材に対し、次のように話した。
「私たちの目的は、より多くの人に真相を知ってもらうことだ。中国では、あまりにも多くの情報が遮断され、多くの声が抑えられている。 私たちは自由でありたい。そして自分の意見を口に出して伝えたい。『中国のファイアウォールを壊せ運動』は、自由を勝ち取るための取り組みの一つだ」
「アイスランドは、孔子学院など、中共の浸透による被害がひどい場所でもある。もし私たちが声を上げなければ、アイスランド政府はそのことを知り得ない」
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