神戸学院大学で中国語を教える胡士雲教授が昨年夏、中国に一時帰国して以来、行方不明になっている。胡教授は昨年5月、中国共産党党首習近平も出席する北京開催の華人大会にも出ており、当局と近い関係にあったとみられる。
時事通信などが18日までに報じた。報道によると、胡教授は昨年8月に前期の授業を終えて一時帰国したが、9月下旬に日本に住む家族から大学に連絡が取れなくなったと通知があったという。大学は今年3月、駐大阪総領事館に胡教授の安否確認を求めたが、回答は得られなかった。
胡教授は江蘇省出身の58歳。1984年に北京大学を卒業し、2015年から神戸学院大学グローバル・コミュニケーション学部の教授として中国語教育に携わり、学部長も務めた。
公開情報によると、胡教授は西日本新華僑華人聯合会会長や中国駐大阪総領事館の公共外交顧問を兼任。台湾や新疆ウイグル問題など中国共産党の政策に支持する論文を発表していた。22年夏のペロシ下院議長の訪台を強く批判し、23年3月には習近平政権への支持を表明し官製メディアに取り上げられた。
昨年5月、世界の華僑・華人団体の責任者ら約500人が集まる世界華僑華人社団聯誼大会が北京の人民大会堂で開かれ、胡教授も出席した。会場には習近平や王滬寧、王毅、蔡奇も姿を見せ、あいさつした。「大会には忠誠心を抱き党策に貢献してきた華人に出席機会が与えられる」(大紀元の取材に応じた在日華人)ため、当局に近い人であったことがうかがえる。
日中友好をテーマに大学の授業にも携わっていた大阪総領事館は、教授の行方不明についてコメントを発していない。
習近平体制は昨年7月に改正スパイ防止法を施行するなど、在外華人の動向も国内同様に監視し、活動の制御を強めており、教授が当局の敏感な事案に関わった可能性もある。いっぽう、日本に住む家族は9月下旬に「連絡は取れないが、病気なので騒がないでほしい」と大学へ連絡している(19日付関西テレビ)という。
過去、日本など海外に住む中国人研究者が一時帰国した際に拘束されるケースも少なくない。2013年には東洋学園大学の教授が約半年間拘束され、2016年と2019年にも日本の大学に勤める中国人教員が一時帰国中に行方不明になった。
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