「既に支給された給料の返上を求められる」。近年中国では日本では考えられない状況が常態化している。
このほど、「多数の銀行が職員に対して以前に支払われたボーナスの返還を求めている」ことが中国SNSで話題となった。
同様の事態はこれまでに何度も話題となっており、銀行業界における経営状況の逼迫が再度浮き彫りとなった形だ。
中国の大手銀行の招商銀行、都市商業銀行の天津銀行、商業銀行の威海銀行など複数の銀行が職員から回収した「支払い済みの給料(業績ボーナス)」のデータがそれぞれの年度報告書(2023年度)により明らかになった。
例えば、招商銀行では過去2年ほど従業員4415人から1億元(約20.9億円)以上の「支払い済給料」を回収した。
昨年末の時点で招商銀行の従業員総数は11万6500人であることから、全従業員の3.78%がボーナスの没収対象になっている計算だ。一人当たりの没収額は9805元(約20万円)となる。
天津銀行の場合、昨年度は1.66億元(約34億円)のボーナスの支給が先延ばしにされているほか、174万元(約3642万円)の「支払い済みの給料」を没収している。
威海銀行でも招商銀行や天津銀行と同様の措置が取られている。
中国メディア「華夏時報」が昨年、ある銀行従業員の話を引用して報道したところによると、「借金踏み倒し」が発生すると、銀行側は当該融資業務で職員に支払われたボーナスを回収することができるという規定があるという。
ただ、これまでは多くの銀行がたとえそのような事態になっても職員へのボーナス返上を求めなかったが、近年は財政状況が厳しい状況にある銀行が続出したため、過去2年間でこの規定を実施する銀行が増えているという。
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