日本銀行が4日発表した地域経済報告「さくらレポート」によると、石川県を中心とする北陸地域では能登半島地震の影響により個人消費や生産の一部に下押し圧力がみられているものの、その他の地域では緩やかな回復基調が続いている。
北陸以外の8地域の景気判断は、「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」など、前回から大きな変化はみられない。一方、北陸は地震の影響で「持ち直しの動きがみられている」とトーンダウンした。金沢市内のホテルでは、地震直後に宿泊キャンセルが相次いだものの、その後は復旧工事関係者等の需要増から稼働率が回復している。
需要項目別にみると、公共投資は高水準、設備投資は増加基調を維持。個人消費は物価高の影響を受けつつも、総じて底堅く推移している。住宅投資は弱含み、生産は一部で下押し圧力を受けている地域もある。名古屋市周辺の自動車メーカーでは、一部工場の生産停止により生産調整を余儀なくされている。
地域別の特徴としては、北海道で台湾や韓国からのインバウンド需要回復が目立つほか、東海や九州・沖縄では自動車関連産業が牽引役となっている。他方、東北では半導体製造装置の在庫調整などから生産の持ち直しに足踏みがみられる。
業種別には、製造業の生産は半導体不足の影響などから一部に弱さが残るものの、総じて堅調な推移。非製造業でも、福岡市や那覇市を中心に、飲食・宿泊を中心にサービス消費が着実に持ち直している。
先行きについては、企業の賃上げ動向や物価高の影響などを見極める必要があるが、当面は緩やかな回復が続くとの見方が多い。ただし、能登半島地震からの復旧状況など地域差は残る。日銀では引き続き、地域金融機関と連携しつつ、被災地の復興に向けた資金繰り支援に万全を期す方針だ。
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