政治 4月28日は日本の「主権回復の日」サンフランシスコ講和条約発効72周年

日本の真の独立を目指す有識者会議、新たな日米関係求める声明発出

2024/04/28 更新: 2024/04/29

サンフランシスコ講和条約が発効してから72周年に当たる4月28日「主権回復の日」に、「日本の真の独立を目指す有識者会議(ECAJTI:2024年3月24日発足)」は、新たな日米関係の構築を求めて、日米両国政府に対する公開声明を発出した。

25日、同有識者会議は、声明発出に先立ち、日本記者クラブ・大会議室(東京都千代田区内幸町)にて記者説明会を開催した。

同会議の副議⻑・田中英道氏(東北大学名誉教授・文学博士)は、今回なぜこのような動きが出てきたのかについて、同説明会の冒頭でその背景を説明した。

「そのひとつには、中国共産党の酷い没落ぶり、国力の一気の喪失が目に見えてきたことがある。同時にロシアも戦争をやっていることもあり、この2つの社会主義あるいは共産主義である国の非常に大きな喪失がある。つまり、この20世紀というのは、マルクス主義というものが跋扈し、ほんとんどの人が左翼になってしまい、いまだにそういう方も多い。しかしこの実体そのものがほとんどなくなってしまった。左翼と言っても実体のない運動になってしまうということが明らかになった。その中で日本という存在は、一方で確かに戦後、GHQが民主日本というようなイメージを押し付けてきたということもあったが、今日多くの旅行者が日本に押しかけていて、一か月に300万人も超えるということが起こっている。一体それは何かといえば、日本に対する大きな希望だ。これからの日本の動きに対するある種の期待と願望。日本の実態をつかもうとする動きだ。これが一気に噴き出してきた。日本の在り方、安全と規律正しさ、世界から言わせれば一番腐敗の無い正常な民主主義を運営しているからこそ、日本の秩序が保たれている。MLBの大谷選手は野球で大活躍するだけでなく、その潔白な態度で、おかしな疑惑も一掃する典型的な日本人の姿を見せた。これが戦後の結果だ。日米の問題も新しい日本の態度が期待されている。日米は対等になり、日米地位協定日米合同委員会など、妙なところで日米関係が決められていく実態を改めるべきだ。もうそういう時代ではなくなってきている」

日本の真の独立を目指す有識者会議(ECAJTI)副議⻑・田中英道氏(東北大学名誉教授・文学博士)

田中氏は、キッシンジャー元米国務長官が巧みな言葉で語った2015年の読売新聞でのインタビューをよく覚えている、として話を続けた。

「キッシンジャーはそのとき何を言ったかというと、”日本の政治や経済はアメリカの言いなりになる。しかし変わっていないのは日本人だ”と言った。日本人が変わっていないからこそ、こうした秩序もあるし、世界で唯一、泥棒の少ない国である。相対的に日本が一番文明国であるという実態が今、現出している。そういうものを作り出しているのは日本の国民であり歴史である。だから今までのようなイデオロギーの国家、あるいは社会主義をはじめ左翼の部分が作ってきた戦後というものは、結局嘘だったのだ。本当は、日本国民の持っている道徳性こそが本当の日本の姿なのである」と述べ、日本の政治家の態度を国際舞台で主張できるよう知恵を絞ってサポートしていきたいと語った。

続いて、同会議設立を主導した山下英次副議⻑(大阪市立大学名誉教授・経済学博士)が同会議設立の趣意について述べた。

日本の真の独立を目指す有識者会議(ECAJTI)副議⻑・山下英次氏(大阪市立大学名誉教授・経済学博士)

「この4月28日の日曜日は、サンフランシスコ講和条約発効72周年だ。第二次大戦が終わったのは1945年8月15日ではない。1952年4月28日だ。日本が主権を回復し、GHQが出て行ったときに戦争は終わった。なぜなら、熱戦のあとにGHQによる心理戦が徹底的に行われたからだ。本来、その日は記念日にしなければならないが、それをしなかった。だから私はこの日を『悔恨の独立記念日』と言っている。現状、我が国は率直に言って独立国とは言えない状況にある。他方、世界秩序が転換しかねない大きな変動期にあり、わが国は大きな国難に直面している。そうした状況下、非独立国では、この難局を乗り越えることは到底不可能であるため、こうした状況を変え、わが国の真の独立を目指すために、言論活動などを展開していこうというのがこの有識者会議の目的だ。そのため、この日に合わせて有識者会議を立ち上げた」。

同氏は続いて日米両国首脳に宛てた声明の内容について紹介した。要約は以下の通り。

日米両国首脳に対する公開声明 「新しい日米関係の在り方」

【世界秩序の大転換と新しい日米関係】

国際秩序が転換しかねない世界情勢(大変化の時代)を見据えた上で、新たな日米関係の在り方を考えようということがこの声明の趣旨。

自由で開かれたインド太平洋FOIP)】

中国・ロシアなどの全体主義的強権国家に対峙するには、QUAD(米日豪印)を中心としたインド太平洋戦略(FOIP)の強化が必要。

【インド太平洋憲章】

そのためには、域内共通の理念「インド太平洋憲章」(IPC)が必要

【独立国家の三種の神器】

日本はQUADの中で、主要的な役割を果たすべきであるが、そのためには、日本が真の独立国にならなければならない。(独立国の三種の神器:1.自前の憲法、2.国防軍、3.防諜法の裏付けを持った統合された国家情報機関)

【日米地位協定と日米合同委員会が大問題】

日本の非独立性を象徴するもの=日米地位協定(SOFA)の著しい不平等性。SOFAの全面的に改定、非公式文書も密約もなしとすべし。全て国会審議を経る形とする。

日米合同委員会(JUJC)の廃止。透明性のある実務者同士の協議会に置換。

【日米同盟の相互依存関係】

米国にとって、在日米軍基地は海外基地で最大の兵站基地。日本政府は、日本の立場が決して弱くないことを自覚すべし。米国は在日米軍基地を失えば今のような意味での世界のリーダーではいられない。

【アメリカの対日政策姿勢】

アメリカは対日政策で、今後、「ストロング・ジャパン」の方針を貫け。それが米国の国益にも資する。もはや、米国一国では中国に立ち向かえないことは明らか。

【日本の対米政策姿勢】

日本政府は、インド太平洋戦略については、事前に米国政府に対する政策上のインプットを強力に展開すべし。同地域での米国の政策上の過誤は、日本にとって、致命的なダメージとなりかねない。

【日米の交渉姿勢に対する要望】

日米は法の支配、自由、民主主義、市場経済などの共通の価値観を共有する。しかし、両国の歴史的・文化的な国の成り立ちは全く異なる。お互いに相手の立場を思いやる姿勢が肝要。

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エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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