「信念を貫き、モラルを守れ」、米最高裁判事がアメリカの現状に警鐘を鳴らす

2024/05/15 更新: 2024/05/16

アメリカ最高裁判所のクラレンス・トーマス(Clarence Thomas)陪席判事とサミュエル・アリート(Samuel Anthony Alito)陪席判事が、それぞれ異なるイベントで演説を行い、現在のアメリカの状況に警鐘を鳴らした。彼らは、言論の自由に対する支持が「危険なほど低下している」とし、アメリカの首都が反対文化の横行する「恐ろしい」場所になっていると述べた。

トーマス判事はアラバマ州で行われたアメリカ第十一巡回上訴裁判所の会議で、アリート判事はオハイオ州のフランシスカン大学の卒業式で、それぞれ演説を行った。二人の保守系の判事は暗い現状を描きつつも、人々に行動を促し希望をもつよう呼びかけた。

アラバマ州のイベントで、司会者のアメリカ地方裁判所判事キャスリン・キンボール・ミゼル(Kathryn Kimball Mizelle) 氏が「卑劣で下品な行為が横行する世界で働く感想」を尋ねた。

トーマス判事は「それには課題があると思います」と答えた。「私たちがいる世界、特にここ2、3年の私と妻の経験は、汚れと嘘に満ちていて、本当に信じられないものです」

トーマス判事は、民主党から激しい非難を浴び、情報開示規則の回避、汚職、共和党の富裕層と親密すぎると非難されている。しかし、民主党はトーマス判事が具体的に不適切な行動をとった事例を挙げることはできまなかった。活動家の中には、トーマス判事の弾劾を求める者さえいる。

これに対して、100人以上の元最高裁判所事務官が昨年、トーマス判事の誠実さを擁護する公開書簡に署名し、彼を「強い原則」と「揺るぎない」独立性を持つ人物と呼んだ。彼らは、トーマス判事に対する様々な批判報道を「悪意がある」とし、「判事は独立して考えることができない 」という嘘を広めていると述べた。

書簡は続けて、「これは裁判所とその正当性に対するより大きな攻撃の一環です。彼らが描く裁判所とそこで働く人々の姿は、現実とはまったく異なります」と記した。

世論調査によれば、最高裁判所に対する国民の信頼は最近、最低水準に落ち込んでいる。

こうした批判に対し、トーマス判事はアラバマ州での会議で、ワシントンは「人々が悪いことをすることを誇りに思う」「醜い」場所になってしまったと語り、一方でワシントン以外のアメリカは「悪いことをすれば必ず報いがある」場所であると述べた。

トーマス判事はまた、法廷文書が一般の人々にとって理解しづらくなり、疎外感を生み出していることに懸念を示した。

「裁判を議論する方法は、時として普通の人々の権利を奪う」とトーマス判事は述べ、しかし、その状況が変わることへの期待も表明した。

外の世界は厳しい

アリート判事は、オハイオ州立大学の卒業生に、言論の自由と信教の自由の両方ともが今日の米国で侵害されていることに警告を発し、同時に若者が責任を持ち、前向きな変革のために闘うことを期待していると述べた。

アリート判事はスピーチの中で、映画『バック・トゥ・スクール』に登場するソーントン・メロン(俳優ロドニー・デンジャーフィールド)の卒業スピーチを引用した。

メロンは映画のなかで「卒業したら、『外の世界は厳しいから』社会に出ず、両親の家に戻り、すべての支払いを両親に任せ、『すべてのことを心配しない』」と述べた。

アリート判事は、「メロンが言ったように、外の世界は厳しい。おそらく、ここしばらくの間で最も厳しい状況でしょう。しかし、だからこそ、あなたの貢献が重要なのだ」

アリート判事は、キャンパスの外の世界では、言論の自由に関する「最も基本的な原則のいくつかが、混乱の波に襲われている」と述べた。

「言論の自由に対する支持は、危険なほど低下している」とアリート判事は続け、この問題は特に大学キャンパスにおいて深刻であり、大学キャンパスは意見交換が最も保護されるべき場所であると指摘した。

「その理想に沿う大学はごくわずかで、ここもそのひとつだ。 しかし、広い世界ではそうではない」

彼はまた、信教の自由が「脅威にさらされている」という問題を提起し、卒業生が仕事や社会的な場において、自分の信念を捨てたり、道徳的に嫌悪感を抱くような信念を受け入れざるを得なくなることを指摘した。

「毅然とした態度で臨むべきだ」と述べた。

注目すべきことは、アリート判事が2022年に「ロー対ウェイド」裁判を覆し、中絶の権利の問題を州に委ねた。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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