下院軍事委員会は5月22日、年次国防政策法案の修正案を採択した。この修正案が議会を通過すれば、国防総省は新型コロナワクチン接種を拒否したために解雇された米軍兵士を再雇用しなければならなくなる。
議員らは5月22日深夜、国防予算8498億ドルを計上する年次予算法案の採決を行なった後、この法案を採択した。
2025年法案は、「軍人の生活の質向上と国防権限法」と題され、今後議会を通過する際のベースとなる法案である。
5月22日、ワクチン接種義務により解雇された退役軍人の再雇用に関する修正案を提出したナンシー・メイス議員は、その修正案が採択されたことを確認した。
討論の際、メイス議員は、この措置は国防総省に、コロナワクチン接種義務によって突然退役を余儀なくされた数千人の軍人の中から採用する戦略を立てるよう指示するものだと述べた。
メイス議員は委員会の投票前に、「この修正案は、国のために働く意欲と能力がある熟練した経験豊かな人員の喪失に対処し、この人々からの募集に対する国防総省の抵抗を克服しようとするもの」と語った。「国防総省はこれまで、コロナワクチン接種義務によって解雇された軍人を十分に採用することに失敗している。これは許されるべきではない」
「ワクチンは命を救う」
メイス氏の発言に反対の見解を持つサルード・カルバハル議員は、軍人は配備される地域に応じた特定のワクチンを含む、様々なワクチンの接種が義務付けられていると指摘した。
同氏は軍事委員会のメンバーに「ワクチンは人命を救うものだ」と強調した。
「正直言って、新型コロナワクチンがなぜこんなに問題視されるのか理解できないが、これは部隊の即応性に関わる問題だ。我々は、軍の隊員を守り、また彼らの仲間を守るためにワクチン接種を行っている」と述べた。
2022年、議会はオースティン米国官房長官に国防総省のコロナワクチン接種義務を撤廃し、昨年はワクチン接種を拒否して除隊された人々が再び勤務に戻るための方策を作成するよう指示した。
4月30日、オースティン氏は委員会で、規定により以前解雇された軍人を再募集する取り組みについては知らないと述べた。メイス氏は5月22日に、これは「残念だ」と表明した。
同委員会は今年後半、民主党主導の上院軍事委員会と会談し、国防権限法の完全可決前に意見の相違を調整する予定だが、先行き不透明な状況に直面する。
国防総省によると、2023会計年度、各軍は合計で約4万1千人の新兵募集目標を達成できなかった。これは、「適格人口の減少 」に起因する。
民間部門の仕事の魅力や、若い世代が軍への「信頼が低い」と感じて別の職業を選ぶ傾向、さらには軍に仕えた家族が減っていることから、同じ道を選ぶ意欲が低下しているという理由も挙げられている。
国防予算案草案通過
下院軍事委員会のロジャース委員長は、2025年度の国防予算案は軍人とその家族に直接関わる問題に対応していると述べた。案の中は、軍人の生活の質の向上に焦点を当てており、給与の増額、住宅環境の改善、医療や育児サービスへのアクセス拡大などが含まれてる。
ロジャース氏はこれは中国、イラン、ロシア、北朝鮮からの挑戦に立ち向かうための軍の強化策に加えたものだと語った。
「私たちが軍事力を増強し、防衛に資金を投じることによって、敵に対して我々が脅威に屈しないというメッセージを送る」と付け加えた。
議会は、今年初めに合意された債務上限に基づき、8498億ドルの防衛予算を承認した。
ロジャース氏は声明で「何十年ぶりかに、本日審議される法案は『軍人の生活の質向上と国防権限法』という異なる名称を持っている。この名称変更は、この法案が我々の軍人及びその家族の生活の質を大きく改善する方向での顕著な進歩を際立たせるためだ」としている。
「軍人が劣悪な環境で生活することはあってはならない。軍人の家族が、子供たちを養うためにフードスタンプ(食料費補助対策)に頼らなければならないようなことがあってもならない。また、この国に奉仕する誰もが、医師や精神衛生の専門家に診てもらうのに何週間も待たなければならないこともあってはならない。この法案は、このような問題を解決するための大きな一歩となる」
ロジャース氏はこの法案が委員会を通過したことを歓迎した。
この法案は、ロジャーズ氏と民主党のアダム・スミス議員が4月18日に提出したもので、2025年国防支出法案のベースとなるものである。
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