台湾防衛の容易さと攻略の難しさ、米シンクタンクが指摘する5つの障害

2024/05/29 更新: 2024/05/29

台湾に対する中国共産党の侵攻計画は、多数の軍事的、地理的、社会的障壁により複雑化している。アメリカの外交問題評議会(CFR)が新たに発表した報告書では、台湾海峡を越えるリスク、地形の複雑さ、都市戦の激しさなど、侵攻における5つの主要な障壁を詳細に分析している。

報告書によると、台湾の住民が抵抗を続ける限り、中国共産党はより困難な挑戦に直面することになるとしている。

外交問題評議会が今年初に公表した報告書では、軍事的な観点から見た中国共産党の台湾侵攻時に直面する挑戦が分析されている。

まず第一に、台湾海峡を越えること自体が極めて危険である。

台湾海峡は幅が約145キロメートル以上もあり、高波や季節風、その他の厳しい気象条件のため、海からの侵攻に適した時期は年間を通して限られている。さらに、数万の兵士を海峡を越えて輸送するためには数千隻の船が必要であり、それには数週間の時間がかかる。このため、台湾は、敵の船や中国共産党の軍隊が上陸しようとする地点に対して狙い撃ちすることや障害物を設置する余裕がある。

次に、海峡を越えた後の上陸地点は限定される。

中国本土に面する台湾西部の海岸は浅瀬が多く、中国共産党の軍隊は海岸から離れた場所でいかりを下ろさざるを得ず、台湾のミサイルや砲火の標的になりやすい。台湾東海岸は断崖絶壁であり、侵攻する軍隊にとって、登るのはほぼ不可能である。台湾の主要な人口集中地へのアクセスは限られた数の狭い道やトンネルを通るしかなく、台湾はこれらを破壊するか、または守ることが簡単である。

第三に、台湾は山がちで地形が複雑である。

仮に中国共産党の軍隊が上陸地点を確保できたとしても、高くて森林に覆われた地形は方向感覚を失いやすい。台湾の国軍はこのような地形を利用して防御に有利な位置を取り、山中でゲリラ戦を行うことができる。

第四点目として、中国共産党の軍は台湾の「戦略的な要地」に陥る可能性が高い。

海岸線や港は限られた選択肢しかなく、台湾全土を横断するのは簡単なことではない。政治的な観点から見ると、中国共産党は台湾の首都である台北を掌握することが求められる。しかし、山々に囲まれた盆地の地形を持つ台北を占領し、台湾全体の支配を確立するのは「極めて難しい」課題である。

台北への進入路は限られており、台湾の軍隊はこの地理的な利点を利用して共産党の軍を攻撃できる。さらに、台湾軍は主要な港やトンネル、高速道路を破壊することで、中国共産党の都市占領の試みを妨ぐことができる。

第五点目では、「都市戦における犠牲が高い」が見込まれる。

台湾の地形を踏まえると、約2300万人の台湾人の大部分がごくわずかな都市に集中しており、その中でも約700万人が台北に住んでいる。従って、中国共産党が台湾に侵攻する場合、都市戦や路地戦を避けることは不可能であり、「時間もコストもかかる侵攻」になると予想される。

報告書の最終部分では、台湾が防衛の面で天然の利点を持っていること、そして侵攻は困難であり、高コストで不確実性が高いという点が強調されている。しかし、山岳、港湾、道路、海といった自然の障壁よりも、台湾住民の侵略に対する抵抗意志がさらに重要な要素となる可能性がある。多くの台湾住民が抵抗する決意を固めれば、中国共産党の侵略試みはより大きな挑戦にぶつかることになるであろう。

 

 

関連特集: 台湾・香港