米人権団体がバイデン政権を提訴 南部国境での庇護制限を巡って

2024/06/16 更新: 2024/06/16

アメリカ公民自由連合(ACLU)は6月12日、バイデン政権が発表した南部国境での庇護申請者数を制限する新たな行政命令に対して訴訟を提起した。

バイデン大統領は6月4日、南部国境を通じて非市民が入国することを制限する命令に署名し、6月5日から施行された。この措置は、連続7日間の平均で1日2500人が越境したことを受けたもので、現在では1日約4千人が越境している。

ACLUは、テキサス州に拠点を置く移民支援団体、ラス・アメリカス移民擁護センターと「RAICES」を代表して訴訟を提起した。この訴訟は、バイデン政権の新たな命令が、トランプ前政権の政策と本質的に変わらないと主張している。

ACLUの弁護士、リー・ゲラーント氏は、「バイデン政権が発表した庇護禁止令は、トランプ政権のものと違いがない。これに対して訴訟を提起する以外に選択肢がなかった」と述べた。

バイデン大統領の命令は、過去7日間の平均越境者数が1日1500人以下に減少するまで有効である。2020年7月以来、越境者数がこれほど低かったことはない。この命令により、不法移民は祖国に戻ることを恐れない限り、数時間から数日以内にアメリカから追放される。さらに、再入国禁止や刑事訴追の処罰を受ける可能性がある。

ACLUは、この命令がアメリカ移民法と行政手続法に違反していると主張している。訴訟では、バイデン政権が移民を指定された入国港からの越境に促しており、そうでない場合には庇護を提供しないことが連邦移民法に違反していると指摘している。

バイデン大統領は、自らの命令は前任者の政策とは異なると主張し、特に人身売買の被害者や同伴者のいない未成年の移民は命令の対象外であると説明している。しかし、ACLUはこの命令が「人々が合法的に庇護を求める権利を大幅に制限し、数千人を危険にさらす」としている。

国土安全保障長官のアレハンドロ・マヨルカス氏は、6月9日のABCのインタビューで、ACLUの見解に同意しないと述べた。「彼らが我々を訴えることは予想していた。我々は我々が行ったことの合法性を堅持している」と語った。

バイデン政権の命令によれば、祖国に戻ることを恐れると表明した移民は、アメリカの庇護官による厳格な審査を受ける。この審査を通過した移民は、拷問禁止条約に基づく限定的な保護を申請できる。このプロセスは、帰国後に拷問を受ける可能性がある人々を保護するためのものである。

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