アメリカ現地時間6月27日午後9時、ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領がアトランタで2024年大統領選挙の初のテレビ討論に参加した。選挙まで残された日数は130日余り。選挙戦の行方を左右する討論で、両候補は激しい政策討論を繰り広げた。
CNNが主催した今回の討論では、多くの新しいルールが導入された。観客はなく、一方の候補者が話している間に相手のマイクがミュートになる。また、2回の広告休憩が設けられた。各候補者には質問に答えるための2分間と反論のための1分間の時間が与えられた。
討論会に先立ち、バイデン大統領は午後早くアトランタに到着。キャンプ・デイビッドでシミュレーション討論を行い、トランプ氏に対する戦略を練った。一方、トランプ氏は集会やイベントに参加し、本能と直感に頼るスタイルで準備を進めた。討論開始前、両候補は恒例となっている握手を交わすことはなかった。
経済問題
司会者ジェイク・タッパー氏の最初の質問は経済についてであり、これはアメリカの有権者にとって最も関心のある問題の一つでもある。特にバイデン氏任期中にアメリカを悩ませたインフレ問題が焦点となった。
バイデン大統領は、アメリカは経済的に繁栄しており、好ましい経済状況にあると強調した。しかし、トランプ氏は「経済は崩壊している」と批判した。
「トランプ大統領の任期中よりも経済の状況が悪化していると感じている有権者に対して、何か言いたいことはあるか」とタッパー氏は尋ねた。
バイデン氏は「私が就任した時にトランプ氏が私に何を残したのかを見る必要がある。我々はすべてを元に戻すために努力し始めた」と述べた。
トランプ氏は「我々は自国の歴史上最も偉大な経済を持っていた。我々はウイルスの打撃を受けたが、打撃を受けた時に必要なお金を使ったため、大恐慌に陥ることはなかった」と反論した。
関税と輸入品について
タッパー氏は、トランプ氏に輸入品に10%の関税を課す提案について尋ねた。トランプ氏は「これは物価を上げるのではなく、長年我々を欺いてきた中国や他の多くの国々が我々を公平に扱うようにするだけだ」と述べた。
バイデン氏はトランプ氏の税制政策を批判、そのような政策は富裕層に減税をもたらし、セイフティーネットを改善するための政府の収入を奪うだろうと述べた。トランプ氏はこれに対し、バイデン氏が国境を緩めたため、不法移民が流入し、社会保障とメディケアを破綻させると主張した。
生殖権問題について
トランプ氏は、最高裁判所に3人の保守派判事を任命した。その結果、「ロー対ウェイド事件」の判決が覆されることとなった。バイデン氏は裁判所の判決およびトランプ氏がさらに生殖権を制限しようとしていることを批判した。
トランプ氏は、自分が大統領に選ばれた場合、中絶薬の使用を阻止しないと述べ、最近の最高裁の中絶薬に関する判決に同意していると述べた。
移民問題で対立
バイデン氏とトランプ氏は移民問題で激しく対立した。トランプ氏は、バイデン氏の開放的な国境政策が「テロリスト」をアメリカに入国させていると非難した。バイデン氏は「彼は再び誇張し、嘘をついている」と答えた。
選挙戦中、バイデン氏が緩和した国境政策は不法移民の急増を引き起こし、共和党の政治家たちから批判の的となっている。バイデン氏は自分の移民政策の変化について、「私はこれを変えた、そして今…不法越境者の数は40%減少している」と述べた。
ロシア・ウクライナ戦争に関するトランプの主張
トランプ氏は、もし彼が11月の大統領選挙で勝利した場合、就任前にロシアのウクライナ侵攻問題を解決すると述べた。彼は「当選大統領として、私は1月20日の就任前にプーチンとゼレンスキーの間の戦争を解決するだろう」と主張した。
民主党員は、トランプ氏がプーチンの停戦条件を受け入れる可能性を批判してきた。木曜日の夜、トランプ氏は司会者の質問に答え、プーチンがロシア・ウクライナ戦争を終結させるために提示した条件は「受け入れられない」と述べた。
いっぽう、バイデン氏はトランプ氏がNATO(北大西洋条約機構)から離脱しようとしていることに反論を唱えた。そして、多くの国々がウクライナ支援を行なっていると強調した。
インフレについての非難合戦
バイデン氏は、彼が前大統領トランプ氏から引き継いだ経済がインフレの原因だと述べたが、トランプ氏は、バイデン氏が引き継いだのは「ほとんどインフレがなかった」アメリカ経済だと反論した。
バイデン氏が2021年に就任した時、アメリカのインフレ率は1%強であった。2022年6月にはインフレ率が40年以上ぶりの高水準である9%に急上昇した。現在、アメリカのインフレ率は3.2%である。
ガザ地区の停戦とイスラエル人質の解放について
司会者がバイデン氏に、アメリカがハマスに残りのイスラエル人質を解放させ、停戦を実現させるためにどのような手段を用いるのかを尋ねた。バイデン氏は、政府は依然として停戦案を受け入れるようハマスを推進し続けていると述べ、2,000ポンドの爆弾をイスラエル側に提供することを拒否したと述べた。
トランプ氏はウクライナとNATOの話題に戻り、自分が大統領に就任したとき、NATOが「破産寸前」だったと述べ、これらの国々に防衛費の増加を促したと述べた。
社会保障削減について
バイデン氏は、2033年に社会保障信託基金が枯渇し、17%の福利削減が生じるのを防ぐ方法について尋ねられた。彼は、福利を削減することなく問題を解決するために所得税の上限を引き上げるべきだと述べ、トランプ氏が社会保障を削減しようとしていると非難した。
トランプ氏は、社会保障の福利を削減しないと述べたが、福利の崖を防ぐ具体的な方法については述べなかった。一部の下院共和党員は、部分的にこの問題を解決するために退職年齢を引き上げることを提案している。
アフガニスタン撤退
トランプ氏は2021年のアフガニスタン撤退についてバイデン氏を批判し、これに関与した軍事指導者を解雇すべきだと述べた。「アフガニスタンの歴史上最も恥ずかしい瞬間に、誰も解雇されなかった」とトランプ氏は指摘した。「彼は解雇しなかった。彼は誰も解雇しなかったのだ」。
政治的暴力について
多くの有権者は、選挙後に前回の大統領選挙後のような政治的動乱が発生するかどうかを懸念している。司会者のダナ・バッシュが「いかなる形式の政治的暴力も完全に容認できないと今ここで言えますか?」と尋ねたとき、トランプ氏は「もちろん、これは完全に容認できない」と答えた。
選挙結果の受け入れについて
トランプ氏は、誰が勝っても選挙結果を受け入れるかどうか尋ねられた。彼は「これは公正で合法的な選挙であれば、絶対に受け入れる」と答えたが、「私はこれを受け入れたいが、不正や他のすべてが馬鹿げている」と述べた。
バイデン氏は「彼は不平家だから、受け入れるとは思えない」と答えた。
年齢問題についての質問
候補者の年齢に対する懸念について尋ねられたとき、バイデン氏は人々に焦点を能力に置いてほしいと望んだ。バイデン氏は、自分の対立候補は数歳しか若くないが、「能力は大きく劣っている」と主張した。
「まず、私のキャリアの半分は最年少の政治家として批判されてきた…そして今、私は最年長だ」とバイデン氏は言った。
バイデン氏は「この男は私より3歳若いが、能力は大きく劣っている」と述べ、有権者に「記録を見て、私が何を成し遂げたかを見てほしい」と訴えた。
トランプ氏は同じ質問に対し、バイデン氏に認知テストを受けるよう求めた。二人はその後、ゴルフの技術について議論した。
最終陳述
バイデン氏は、最初に最終陳述を行い、第二期政権ではより公平な税制の構築に注力することを表明した。彼はこれを、トランプ氏が提案する一律10%の関税と対比させた。研究によると、トランプ氏の関税提案は中産階級家庭のコストを年間約1,500ドル増加させるとされている。
トランプ氏は最終陳述でバイデン氏を反駁しようとした。「多くの政治家と同じように、この男はただの不平家だ」とトランプ氏は言い、「彼は『こうしたい、ああしたい、これを廃止したい』と言うが、何も行動に移していない」と非難した。
両者は討論が終わった後も握手をしなかった。
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