暮らし 村越 淳さん

【動画あり】「上野公園」で出没 水で絵を描く「謎のおじさん」

2024/07/16 更新: 2024/07/16

「無意味に時間を過ごしていることの、怪しさ、変さ…… 、それが逆に面白い」

そう語るのは、天気のよい週末に、上野公園の正門前に出没する、水で絵を描く「謎のおじさん」こと、村越 淳さん。

片手にスポンジを先端につけた風呂掃除用グッズ、もう片手には水入りバケツを手にするこの「変なおじさん」は、公園の路上で、通りかかった子供や外国人を捕まえては「好きな動物なんですか」「干支は何ですか」などとずけずけと聞いてくる。

干支のことが疎い外国人の場合は、干支の代わりに星座を聞くという。なかには自分の星座や干支がわからないという人のためには、生年月日で調べられる干支や星座などの情報が書かれた「紙」をポケットに忍ばせてあるのだ。

通行人が自分の干支や星座を答えると、「謎のおじさん」はその干支や星座の絵を、筆代わりに水を付けた風呂掃除用のスポンジを使って地面に水で描いてくれる。

シンプルではあるが、一目でわかる干支や星座の絵はあっという間に完成し、もちろんパフォーマンス料金を請求されることもない。

「夫婦仲良いよね?」といきなり聞くこともある。それを記者が目撃した。

そういきなり聞かれて、少し困っている夫婦に対し、「夫婦が仲良くなっちゃう、昭和のおまじないね」と言って、地面に書かれた夫婦のそれぞれの干支の絵の間に「ラブラブ傘」まで特別に書くのです。最後には、「夫婦仲良くね!」と温かい一声をかけて、バイバイする。

「変なおじさん」は怪しいだけでなく、時には余計なお世話まで焼いてしまう、優しさも持ち合わせているようだ。

(記者が撮影した、上野公園の「変なおじさん」)

 

記者も初めて「変なおじさん」に出会った時は、その怪しさゆえに近づけなかった。2度目会った際に、勇気振り絞って、声をかけてみることに。

上野動物園の職員さんですか?」

すると、「そうではない、ボランティアでやってる」という。

「なぜ? どうして?」とても興味を持った記者は、このミステリアスなこのおじさまに、インタビューすることに。

元は中学校の美術の教師で、いまは定年退職して年金暮らししているという、「変なおじさん」

「なんでこんなこと、やってるの?」というストレートな質問に、「まあ、暇つぶし」と答えた。

なるほど、暇つぶしね。「しかし、こんな炎天下で、楽しいのか?」という別の疑問も湧いてきた。

「じゃあ、何が楽しいのですか」とまたも、少々失礼ながらも、ぶつけてみた。

すると、こう答えてくれた。

「面白いのは、いろんな国の人のリアクション。絵は言葉がわからなくても、見ただけでわかるから、そっからコミュニケーションが始まる、それが面白いんだ」

「それと、もう1つ。水で書いて、その水が蒸発してなくなる、お金もとらない。ある意味、無意味なことをやっているんだ。全て、お金のために動いているこういう社会だからこそ、無意味に時間を過ごしていることの怪しさ、風変り、それが逆に面白いんだ」

「このおじさん、なんでこんな暑いなか、汗流してやってるのか、遠くから見てて、怪しいけれども、面白いんですよ」

「変なおじさん」は逆さで絵を描くこともできる(李凌/大紀元)

 

雨以外の週末は、出来る限り、ここで水を使って絵を描いているそうです、見かけたら、どうぞ声をかけてあげてください。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 暮らし