国際 「台湾いじめ?」

「中国国旗」掲示拒否のパリ台湾系ホテルが謝罪へ 中国でボイコットの動きを受け

2024/08/17 更新: 2024/08/17

 

パリで運営する台湾系ホテルが「中国国旗を掲示しなかった」ことを問題視して、中国でボイコット運動にまで発展している。

事態拡大を受け、台湾系ホテルチェーン「エバーグリーン・ローレル・ホテル(長栄桂冠酒店)」は15日、公式サイトで謝罪声明を発表した。

台湾メディアは、これを「五星旗(中国国旗)の乱」と呼び、中国で沸き起こるナショナリズムの怖さを含む「チャイナリスク」に関する討論が再度持ち上がっている。

 

発端

ボイコット運動のきっかけは、「エバーグリーン・ローレル・ホテル」パリ店の館内で中国国旗の掲示を拒否する動画がSNSで拡散されたことである。

中国のインフルエンサーは、パリ店にチェックインする過程で館内に飾られていた五輪参加国の国旗の中に中国国旗がないことに気づき、ホテル側に抗議。「中国国旗なら自分が持ってるから」と無料提供を提案するも要求を拒んだ。

そこへ、同ホテルの料理人と自称する中国人男性が「当初は中国国旗も飾られていたが、台湾人の支配人がそれを切った」と明かすインタビュー映像も加わり、「このホテルは台湾独立を支持している!」

「差別された!」となり、中国人ナショナリズムに火を付けることになった。

 

ホテルフロントで「中国国旗を掲示して」と求める中国のインフルエンサー(NTD新唐人テレビより)

 

そこへ「同ホテルの公式サイトは中国と台湾が分けて表記されている」とする中国官営メディアによる「扇動報道」まで放送された。

一部の中国企業がこの「ナショナリズムの波」に便乗する事態に発展。

海外で「Trip.com」を運営する中国のオンライン旅行会社で最大手の「Ctrip」は、同台湾系ホテルチェーンの予約サービスを中断。「百度」などの地図サービスは、同ホテルの「上海店」の表記を削除、中国最大級の口コミサイト「大衆点評」に至っては、上海チェーンの飲食店を「営業停止」と表示させるなど、ボイコットの動きが広まり、騒ぎがどんどん大きくなった。

最悪の事態に拡大したことを受け、「エバーグリーン・ローレル・ホテル」は謝罪に追い込まれた。
 

「不当だ」の声

いっぽう、ネット上ではこの一連のボイコット動きを、「台湾いじめ」と捉える声が高く、「どこの国の国旗を掲げようが、それはホテル側の選択の自由で、干渉する権利はないはずだ」

「これを口実に台湾企業をいじめるのは不当だ」との非難が多く寄せられている。

アメリカ在住のセルフメディア発信者・黄子茵(こうしいん)氏は、「欧米のビジネスの場では他国の国旗は掲げても唯一中国のは掲げていないケースも多い。それなのに、中国のインフルエンサーはあえて台湾系ホテルで騒いだ。その背後には中国共産党の影が潜んでいる可能性がある」と分析する。

台湾大陸委員会の梁文傑(りょうぶんけつ)報道官も15日の定例記者会見で、「中国でのナショナリズムは、アクセスを稼げて儲かるビジネスだ。しかし、ナショナリズムを利用してビジネスに干渉し、アクセス稼ぎをしても、中国を偉大にすることはできないばかりか、国際社会の恨みをますます買うだけだ」と非難したという。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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