パレスチナ自治区ガザに侵攻を続けるイスラエル軍は17日、イスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏(61)を殺害した。シンワル氏の弟であるムハンマド・シンワル氏がその後継者となったと報じられている。
イスラエル軍が公開したシンワル氏の「最期の時」とされる映像のなかには、ドローン(無人機)に棒を投げる「最期の姿」が記録されていた。
シンワル氏はハマスの最高指導者であるだけでなく、イスラエルと戦争のきっかけとなった2023年10月7日のイスラエルに対する奇襲の立案者だとされているため、その「死」が意味するものは何であろうか。
翌日にシンワル氏の死亡現場を訪れたイスラエル軍参謀総長のヘルツィ・ハレヴィ中将は「ハマスによるイスラエル国民に対する大虐殺から1年、我々はようやく決着をつけた」と述べている。
いっぽう、ガザでは「最後まで徹底抗戦した英雄」「パレスチナ人として誇らしい死に方」として、シンワル氏の死を追悼する声が上がっている。
ロイターによれば、先月の世論調査では、 ガザ住民の大多数が10月7日の奇襲を「誤った決定だった」と考えており、パレスチナ人の間では、この戦争を始めたシンワル氏の意志に疑問を抱く人が増えているという。
シンワル氏殺害を受け、アメリカのバイデン大統領は「イスラエルやアメリカ、世界にとって良い日だ」と声明出しており、西側は歓声に包まれるなか、中国のネット上では「哀悼」のメッセージに溢れている。
中国CCTVによるシンワル氏の最期を伝える報道番組のコメント欄には「彼は本物の英雄」、「壮志未酬(まだ志半ば…)」「人民英雄永垂不朽(人民の英雄は永遠に不滅だ)」といった追悼コメントが画面いっぱいに埋め尽くした。
中国は、中国共産党による「ハマス寄り」「ロシア寄り」のプロパガンダの影響を受けて、反イスラエル、反ウクライナの思想を持つ市民も少なくない。
7月末にイランの首都でハマスの当時の最高指導者ハニヤ氏が暗殺された時も、中国検索エンジン最大手の「百度(バイドゥ)」を筆頭に、「搜狗搜索(Sogou)」、「360(サンリュー)」といった同国主要検索エンジンのウェブサイトでは、ハニヤ氏のプロフィールの写真が「カラー」から「白黒」に変わった。
中国の官製メディアや公式サイトの色がこのように「白黒」に変わる時は基本、中国共産党の党首が死亡した時だけであるため、主要検索エンジン各社による一斉の「追悼モード」をめぐり、ネット上では「テロ集団のリーダーだぞ」「喪に服してるのか」などと批判が殺到していた。
世論のプレッシャーを受け翌日(8月1日)には、これらサイトのハニヤ氏のプロフィールは白黒から元の「カラー」に戻されていた。
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