虚偽報道への反撃
トランプ氏がニューヨーク・タイムズを優先被害で提訴し、アメリカ政治とメディア業界に波紋を広げている。虚偽報道への反撃が、伝統的メディアの未来を問う重要な場面となってきている。
トランプ氏がアメリカ大統領選に勝利した。正式に就任する前から、アメリカの政治にはすでに微妙な変化が現れている。特にメディア業界の変化は顕著である。大統領選の数日前、トランプ氏の弁護士チームは「ニューヨーク・タイムズ」とペンギン・ランダムハウス出版社に法的書簡を送り、トランプ氏に対する虚偽の誹謗について100億ドルの賠償を求めた。「ニューヨーク・タイムズ」は何を報じ、なぜトランプチームをこれほど怒らせたのか。また、トランプ氏や保守派に対するもの以外に何を報じたのか?
トランプ氏の法的対応 ニューヨーク・タイムズへの照会書
テレビプロデューサーのリー・ジュンは新唐人の「菁英論壇」番組で、トランプ氏の代表弁護士エドワード氏が「ニューヨーク・タイムズ」に送った10ページの照会書について言及した。この書簡では、トランプ氏が大統領候補として組織的に誹謗されていることを指摘している。報道には、トランプ氏が運の悪い敗者であり、成功したビジネスマンではなく、父親の財産を浪費しているという内容や、独裁的な統治を行う可能性があるという内容も含まれている。
書簡では、「ニューヨーク・タイムズ」はトランプブランドを故意に貶め、アメリカの最高指導者候補としてのトランプ氏のイメージを悪意を持って損なっていると非難したのだ。これらの虚偽の誹謗は全く許されないと述べている。
書簡の中で、トランプ氏の人生の軌跡は、アメリカンドリームの精神を完璧に体現し、アメリカの愛国者の模範だとしている。また、トランプ氏が50社の企業を再建し、活性化させたプロジェクトやブランドが挙げられ、ニューヨーク市の多くの著名で成功した建物には、トランプ氏の貢献と功績があると指摘している。
李軍氏は、トランプのチームが、CBSやニュースサイト「デイリービースト」などのメディアを訴える計画があると述べた。もしトランプのチームが「ニューヨーク・タイムズ」を成功裏に訴えることができれば、それはアメリカの左派メディアに対する反撃となり、アメリカ全体のメディア業界に大きな衝撃を与えるだろうという。
名誉毀損の訴訟
ジャーナリストの郭君氏は「菁英論壇」で、名誉毀損の訴訟は非常に難しいと述べている。アメリカで名誉毀損で勝訴するためには、三つの条件を満たす必要がある。
一つ、被告が原告に対して名誉毀損的な発言を実際に行ったこと。
二つは、発言が名誉毀損となる発言をした結果、それを聞いた人たちが原告に対して悪い印象や低い評価の結論に至ること。
三つは、被告が悪意を持っていることを証明する必要があるという点である。
特にメディアに対してはこの要件が重要である。要するに、被告の発言が事実でないことを証明し、原告に損害を与えたことを示すだけでなく、その発言が故意であることも証明しなければならない。不実な言論を指摘する際には、通常、事実としての不実である必要があり、単なる意見では済まされない。
時には、多くの人が他の人の言うことを信じて広めることがあるが、これは噂を信じて広めることであり、名誉毀損には該当しない。
そのため、アメリカでは、著名な政治家や組織が名誉毀損で訴えるのは非常に難しいが、成功することもある。例えば、ドミニオン投票機会社はフォックスニュースを訴え、8億ドルの賠償金を勝ち取った。
もちろん、これは当時の政治環境や政治的雰囲気に関連していることだ。
トランプ勝算大、マスクがCNNを買収?
政治経済評論家の唐柏橋氏は「菁英論壇」で、近年「ニューヨーク・タイムズ」は非常に急速に堕落し、特に中国共産党(中共)の上客となっていると指摘する。
名誉毀損の三つの要素の証明は非常に難しいものの、トランプ氏は現在「ニューヨーク・タイムズ」やCBSなど5、6社を訴えている。彼はこれらのメディアを同時に訴えるが、その理由は何か? 例えば、トランプ氏が暗殺の銃撃を受けた後、すべての伝統的メディアやテレビは、彼が暗殺されそうになったとは言わず、ある声に驚いてしゃがみ込み、混乱を引き起こしたと報じた。暗殺未遂や銃声については一切触れず、アメリカのほぼすべての伝統的メディアがこのように報じることは、典型的な名誉毀損であり、故意の名誉毀損であると言われている。
郭君氏は、「ニューヨーク・タイムズ」にはこのような伝統があり、アメリカや西側の政治家に対しては、特に厳しく、独裁国家の指導者を特に持ち上げる傾向があると述べる。例えば、毛沢東を持ち上げたことがあるのだ。
「ニューヨーク・タイムズ」の報道スタイルは、しばしば意図的に偏向していることが知られている。20世紀30年代、同紙のモスクワ特派員は、ソ連での大飢饉や大粛清が生じたことを否定した。彼は事実を知っており、ソ連で人々が餓死していることを認識していたが、意図的に虚偽の報道を行ったのだ。
これは、ソ連共産党が彼を高待遇でもてなし、情報を提供し、非常に丁寧に接したためである。この記者の虚偽の報道は、皮肉にもピューリッツァー賞を受賞したのだ。
唐柏橋氏は、トランプ氏が今回訴訟を起こす場合、前回よりもはるかに容易で、勝つ可能性が高いと述べる。彼が訴える理由は、メディアを閉鎖させることだと推測される。現在、マスク氏がCNNを買収する準備をしているという噂があり、伝統的なメディアは、基本的に過去のものになるだろう。
「ニューヨーク・タイムズ」が神韻芸術団を攻撃、その手法は中共と同じ
大紀元の主筆の石山氏は「菁英論壇」で、西側メディアの基本原則は客観性、公正さ、バランスの取れた報道であると述べる。「ニューヨーク・タイムズ」は長らく西側メディアの基準とされてきたが、最近数年で大きな変化が見られ、多くの記事が極左的または過激すぎると感じるという。
唐柏橋氏は、「ニューヨーク・タイムズ」が神韻芸術団に対して、非常に厳しい攻撃を行い、選択的に神韻を狙っていると指摘する。その背後にはどのような動機があるのか? 政治的利益の考慮か、あるいは政治的立場の問題か? 私は神韻芸術団が逆に、彼らを訴えることができ、しかも簡単に勝てると考えていると述べた。
郭君氏は次のように説明した。
「ニューヨーク・タイムズ」はここ数年、神韻芸術団に関する多くの否定的なニュースを報道しており、その多くは事実に反している。彼らは手段を用いて、いわゆるインタビュー対象者の発言を引用し、文脈を無視して誤解を招く表現をしている。
例えば、ある人が「私の目の前のテーブルは美しいが、大きすぎて無駄が多い」と言った場合、彼らは「無駄が多い」という部分だけを取り上げ、「美しい」という部分を省くことで、その人が無駄だと考えているかのように印象を操作する。さらに進めば、私が無駄遣いをしていると非難されることになる。
このような手法は、中共の宣伝部門が得意とするものであり、実際には中宣部との暗黙の合意に基づく交換条件の一種である。業界の人々は皆このことを知っているが、これは中共の対外宣伝管理部門の手段であり、「ニューヨーク・タイムズ」にとっては中共を喜ばせるための最も安価な方法なのだ。
郭君氏は、現在ほとんどの外国メディアに対して、規制が厳しく、中国のニュースを報道できない状況にあると述べる。しかし、「ニューヨーク・タイムズ」は、この方法を通じて中共から許可を得て、中国に留まることができているとし、今後、大きな出来事が起これば、彼らは独占的な報道を行い、これが会社の存続につながるかもしれないというカラクリなのだろう。以前は、ソ連やドイツ、中共でも、これで成功を収めていたという。
李軍氏は、アメリカに来たばかりの頃、いくつかの左派メディアの報道に驚いたと語る。彼らの手法は、文脈を無視した引用や部分的な情報を全体として扱うこと、無理なレッテル貼り、情報のすり替え、さらには暗に攻撃することなどで、これらはすべて中共のメディアの常套手段である。当時、私は主流メディアの左派が、なぜ中国共産党のメディアと同じことをするのか理解できなかった。
しかし、その後、大紀元が発表した『悪魔が世界を統治している』シリーズの社説を読んで、共産主義運動のイデオロギーが西側で姿を変え、進歩主義や自由主義と呼ばれるようになり、西側メディアに浸透していることを知ったのだ。これは共産主義文化がメディアに浸透している一つの表れであり、私はようやくそのことに気づいた。
CNNなどのメディアの視聴率が急落
唐柏橋氏は、マスク氏の言葉を引用し、トランプ政権の4年間に、すべての伝統的メディアが、現在の方針を続ける限り、消えてしまう可能性が非常に高いと述べた。具体的には、25~54歳の主要視聴者層において、CNNの視聴率は24年ぶりの最低を記録し、11月11日の平均視聴者数はわずか6万1千人であった。
一方、新唐人のセルフメディアや、中国語のセルフメディアのインフルエンサーである江峰氏や文昭氏は非常に高い視聴率を誇り、私たちの「精英論壇」も、中国共産党の制限を受けながら、十数万、さらには数十万人が視聴している事実がある。
アメリカでトランプ氏を支持する影響力のある人々は、一つの投稿を発信するだけで数時間後には100万人以上がそれを読んでおり、これはCNN全体の視聴数を大きく上回っている。それでは、なぜCNNは存続し続けるのか? それは政治的な需要があるからだという。
郭君は、メディアには独自の原則があり、これらは通常、現在の社会政治のトレンドと関連している。メディアの台頭は一つの時代の象徴であり、代表的な存在である。そのため、大きな時代の変化が起こると、メディアも大きな変化を遂げることが必然になるのだ。
最近数年間、アメリカの極左派が推進しているのは政治的正しさであり、その一例がDEI運動である。DEIは多様性(Diversity)、平等(Equity)、包摂(Inclusion)の頭文字を取ったもので、マルクス主義運動の論理や批判的人種理論といった文化的背景がある。特に、平等(Equity)は単なる平等(Equality)とは異なり、結果の平等を強調しているため、「平均」と呼ばれている。これが現代の極左派思想の基礎である。
これは何に似ているか? 例えば、バスケットボールの試合では、全員が平等であることをどのように保証するか? 背の高い選手のためにバスケットのリングは3メートル以上に設定されているが、背の低い選手のためには1メートルに設定する必要がある。こうすることで、得点が同じになることが保証される。結果が同じであることが求められているのである。
これは機会の平等ではなく、結果を同じにするための変更であり、いわゆる典型的な平均主義を意味しているのだ。もちろん、この考え方が完全に間違っているわけではなく、合理的な側面もあるが、極端に推進されると、多くの不条理な結果が生じることになる。例えば、能力や努力を無視して、全員に100点を取らせようとするテストのようなものだ。
しかし、これらは重要ではない。今日の話題は、「ニューヨーク・タイムズ」のような伝統的な左派メディアで、彼らはこの思想を強く推進しているが、実際には非常に偽善的である。例えば、神韻芸術団を攻撃する多くの記事を連続して発表しているが、彼らは神韻に対してDEIの精神を全く尊重せず、異なる伝統的信念や平等を無視し、融合や包容については言うまでもない。
神韻に関する彼らの記事は、DEIの精神とは完全に反対である。しかし、彼らは気にしない。なぜなら、神韻も法輪功もアメリカでは少数派で、権力のない集団だからである。これは「ニューヨーク・タイムズ」の典型的な偽善であり、弱者をいじめて強者の利益を得ようとするものである。
石山氏は、「ニューヨーク・タイムズ」の弱者をいじめ、強者を恐れる姿勢が、最終的に非常に興味深い結果をもたらすだろうと述べている。これは中国の言葉「人が治めなければ、天が治める」を示しているという。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。