米国防総省 テンセントやCATLを「中国軍事企業」に指定 日本企業への影響は

2025/01/07 更新: 2025/01/07

様々な日本企業と深いパートナー関係を結んでいるテック大手テンセントと電池メーカーのCATLが中国軍と関連のある「中国軍事企業」に指定された。

アメリカ国防総省(DOD)は6日、テック大手テンセントや電池メーカーのCATLなど複数の中国企業を「中国軍と関係のある企業」に指定したと発表した。

国防総省は法律に基づき、中国軍事企業のリスト、セクション1260Hリストを議会に報告することを求めており、2020年6月には中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)がリスト入りしている。

テンセントと日本企業との関係

テンセント・ホールディングスは、インスタントメッセージング、ソーシャルメディア、モバイル決済を組み合わせたスーパーアプリ「ウィーチャット(WeChat)」の親会社だ。

日本経済新聞によると、トヨタ自動車は2024年4月25日に開幕した北京モーターショーにおいて、中国のIT大手テンセントとの戦略的提携を発表し、テンセントの得意とする人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術で協力している。

その他日本航空(JAL)もJAL航空券を直接予約サービスで提携しており、バンダイナムコ、任天堂などのゲーム業界とも積極的に関係を深めている。

CATLと日本企業との関係

CATLは、中国の電気自動車(EV)市場の拡大に伴って急成長、2023年時点で世界最大の車載電池メーカであり、現在、テスラ、BMW、ダイムラー、ホンダ、トヨタなど多くの大手自動車メーカーとパートナーシップを結んでいる。

同社のバッテリーは今回の「中国軍事企業」に指定される前にすでに米連邦議会下院の特別委員会でセキュリティの脆弱性を指摘されていた。

「米国と中国共産党との間の戦略的競争特別委員会(Select Committee on the Strategic Competition between the United States and the Chinese Communist Party)」の6月のプレスリリースで、CATL が EV にマルウェアをインストールして所有者の機密情報を収集したり、EV 充電ネットワークやバッテリーエネルギー貯蔵システムをシャットダウンしたり、ハードウェア侵入によって標的の車両を無効にしたりする可能性をあげている。

2024年度国防権限法では、国防総省が中国軍事企業リストに掲載されている企業から全部または一部を調達した商品やサービス、技術を調達することを禁止している。リストに掲載されている企業との取引を避ける選択をする可能性がある。

民主主義防衛財団の中国専門家クレイグ・シングルトン氏は「今日のリストは、これらが単なる商業企業ではないことを明らかにしている。彼らは中国の軍事近代化の重要な推進者であり、北京の戦略的野心を直接刺激しているのだ」と述べている。

一方、テンセントはロイター通信への声明で、同社がリストに載ったのは「明らかに間違い」だと述べ、「当社は軍事企業でも軍事供給業者でもない。制裁や輸出規制とは異なり、このリストは当社の事業に影響を及ぼさない」と述べた。 

CATLもこの指定は誤りであり、「いかなる軍事関連活動にも従事していない」と述べている。

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