オセアニア この開発により、建設段階で600人の雇用が創出され、採掘と精錬作業が開始されると350人の継続的な雇用が創出される予定だ。

豪政府、アラフラ・レアアース社に2億豪ドルを投資  希土類供給網の強化へ

2025/01/15 更新: 2025/01/15

オーストラリア政府の国家復興基金公社(NRFC)は、アラフラ・レアアース社に対し、2億豪ドル(約180億円)の投資を発表した。この資金は、アリススプリングス北部135kmに位置するノーランズプロジェクトの希土類鉱山および処理施設の開発を支援するものである。

雇用創出と地域経済の活性化

ノーランズプロジェクトは、建設段階で600人、操業開始後には350人の継続的な雇用を創出する。また、ノーザンテリトリーの先住民コミュニティ(ファーストネーション)に、雇用やトレーニング、ビジネスパートナーシップの機会を提供することも目的としている。

産業科学相のエド・フーシック氏は、「150億豪ドル(約1兆3000億円)の国家復興基金は、オーストラリアの未来を築く取り組みである」と述べ、過去8週間で3億6000万豪ドル(約324億円)の投資を実現したことを強調した。

サプライチェーン強化と地域経済への貢献

ノーランズプロジェクトは、連邦政府から過去1年間で10億豪ドル(約870億円)以上の支援を受けている。フーシック氏は、オーストラリアが世界有数の希土類資源を有しており、今後10年で世界市場が倍増すると予想されていると指摘した。「地球上最大級の希土類鉱物埋蔵量を活用し、国内で付加価値を生み出すことが重要である」と述べている。

アラフラ社のダリル・クズッボ氏も、「今回の投資は国内処理能力を強化し、世界的なサプライチェーンの強靭性を高める」とコメントしている。

業界の変革を促進

ノーランズプロジェクトは、オーストラリア初のネオジム・プラセオジム鉱石を酸化物に加工する処理施設となる予定である。このプロジェクトは完全な許認可を取得しており、建設準備が整っている。また、国際的な金融支援も確保済みだ。

操業開始後には、年間4440トンを生産し、2032年には世界需要の約4%を賄うことが見込まれている。この発表により、アラフラ・レアアース社の株価は20%以上上昇し、市場の信頼を示している。

戦略的重要性と世界的影響

レアアース(希土類)は風力タービン、電気自動車(EV)、高度通信技術、防衛システムなどに不可欠な素材である。オーストラリアとその同盟国にとって、中国以外のサプライチェーンを構築することは戦略的な優先事項である。

アリススプリングスは、このプロジェクトの建設と運用の物流拠点として機能し、地域経済の成長を支える。NRFCの議長マーティン・ワイルダー氏は、「このプロジェクトは地域中小企業にビジネスチャンスをもたらし、インフラの共有にも寄与する」と述べた。

世界の動向

米国

米国は、国内生産と製錬能力の強化に取り組んでおり、オーストラリアのライナス社がテキサス州に製錬工場を建設する計画を進めている。このプロジェクトには、米国防総省から3億ドル以上の支援が行われている。

日本

日本は「海外資源確保」「リサイクル」「代替材料開発」「備蓄」の4つの柱を掲げ、ベトナムなどから輸入を拡大。廃棄スマートフォンや家電製品からのレアアース回収技術の推進や、南鳥島近海の海底鉱床での調査も進行中である。

まとめ

各国は中国への依存を減らし、希土類供給網を多様化する取り組みを加速している。オーストラリアのノーランズプロジェクトは、これらの動きの象徴的な存在であり、地域経済や世界のサプライチェーンに大きな影響を与えることが期待されている。

オーストラリアのキャンベラを拠点に活動するジャーナリストで、主にオーストラリア国内の政治問題を取材・報道している。 連絡先:Naziya.Alvi@EpochTimes.com.au
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