未成年の性別変更手術 アルゼンチンが禁止へ 米と歩調

2025/02/07 更新: 2025/02/07

アルゼンチンのミレイ大統領は、未成年者に対する性別変更手術を禁止し、女性を自認する男性の女性刑務所収容を制限する大統領令を発令した。

2月5日、大統領報道官のマヌエル・アドルニ氏は記者会見で、2012年に制定された未成年者の性別変更手術を親の同意のもとで認める法律を撤廃すると発表した。これにより、未成年者へのホルモン療法も禁止される。

ミレイ政権は声明で「未成年者は性別変更手術に同意できる判断能力を持たず、刑務所の収容基準は生物学的な性別を優先すべきだ」と強調した。

ミレイ大統領府は声明で「ジェンダー・イデオロギーを極端に推し進め、子どもたちに強制的または心理的圧力をかけてることは、単なる児童虐待である。子どもは、不可逆的な処置について判断を下せる認知的成熟度を備えていない」と述べた。

女性刑務所の収容基準を変更

アドルニ報道官によると、ミレイ氏は新たな大統領令で、受刑者の収容を「犯罪を犯した時点での性別」に基づいて行うことを義務付ける。ただし、生物学的に男性で女性を自認する者のうち、性的犯罪、人身売買、女性に対する暴力犯罪で有罪判決を受けた者は、女性刑務所への収容を認めない。

「この決定により、女性受刑者全員の安全を確保する、より合理的な収容制度が実現する」とアドルニ氏は述べた。

「ジェンダー・イデオロギー」に反対するミレイ政権の姿勢

今回の決定は、ミレイ大統領の「ジェンダー・イデオロギー」に対する批判的な立場を反映するものだ。同氏は国際フォーラムでもこうした考えを明確に示している。

同氏は1月のダボス演説で「病的な目覚め主義(wokeism)」を非難し「進歩的な政策は『がん』であり、根絶すべきものだ」と発言した。

この発言を受け、アルゼンチン国内のLGBT活動家らは2月1日、首都ブエノスアイレスで抗議デモを実施。数千人が参加し、一部の人権団体や政治家も加わった。

WHOからの脱退も発表

アルゼンチン政府は今回の政策転換を発表する前に、ミレイ大統領がWHOからの脱退を決定していた。この動きは、ホワイトハウスに復帰したトランプ米大統領が、米国をWHOから脱退させる大統領令に署名したことを受けたものだ。

ミレイ政権は、WHO脱退の理由について「新型コロナウイルスのロックダウンが経済に壊滅的な影響をもたらしたことは、人道に対する罪と見なされるべきだ」と主張している。

ミレイ大統領は、自らを「アナーコ・キャピタリスト(無政府資本主義者)」と称し、2023年の大統領選で左派政権の経済相セルヒオ・マッサ氏を破り、アルゼンチン大統領に就任した。

 

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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