論評
カナダでは国技としてホッケー(アイスホッケー)が挙げられるが、カナダ人にとってこれが当然の事実であり、「アイス」と明記する必要さえないほどだ。一部ではラクロスこそ国技とする声もあるが、筆者はこれが間違っていると主張したい。
真の国民的趣味、つまりカナダ人が最も時間、注意、そして資金を費やす活動は「国技」ではなく、「調査委員会(ロイヤル・コミッション)」である。これは国民的伝統のようなものだ。建国以来、実に450ものロイヤル・コミッションが設置されている。
最新の調査 外国干渉に関するホーグ調査
最近の例として挙げられるのが、ホーグ調査、正式には「外国干渉に関する調査委員会」だ。
中国が何十年にもわたりカナダの民主主義に干渉しているというカナダ情報安全保障局(CSIS)の報告が無視された後、デービッド・ジョンストン氏による調査報告書が「ホワイトウォッシュ(白紙化)」と批判される形で登場した。この報告書は調査の必要性を否定したが、政府は最終的に反対意見に押し切られ、キュベック控訴裁判所判事のマリー=ジョゼ・ホーグ氏による新たな調査が始まった。
ホーグ調査は2023年9月に開始され、先週ようやくその最終報告を発表した。しかし、その内容から学んだことは何かと問われると、次のような皮肉を述べざるを得ない。
「ジョンストン報告書は、カナダが中国や他国の干渉から安全であると国民に信じ込ませる試みの一つに過ぎなかった。情報(インテリジェンス)は証拠ではない、という言い訳を再び強調した。そして我々は、次の調査が始まるまでホッケー観戦に戻るべきだということだ」
調査結果の限界と市民証言の意義
この調査結果はあまりに不完全で、最初から調査を行った意義が疑わしい内容だった。一方で、多くのカナダ人、特に外国からの干渉によってカナダ国内での活動を標的にした人々が証言する機会を得たことは評価する。これにより、敵対的な国家がどのようにして我々の国土内で市民の生活を危険にさらしているのかという不安な現実が明らかになった。
調査報告には、外国干渉に対抗するための51の提言が盛り込まれている。しかし、政府がこれらの提言を実行する可能性は低いと多くの国民が認識している。報告書が示した内容と、示さなかった内容に注目する必要がある。
ホーグ判事は「カナダの議会で外国と共謀し、カナダに敵対する行動を取る『裏切り者』が存在する証拠は見つからなかった」と述べた。しかしこれは非常に低い基準と言える。反逆罪は極めて重大な犯罪であり、その立証には非常に高い証拠レベルが必要だ。それでも、反逆罪に至らないもののカナダの利益に反する活動が日常的に行われているのは事実だ。
また、2024年6月に発表した国家安全保障情報議会委員会(NSICOP)の報告書では、「一部の議員が外国政府の干渉活動に『半ば意図的または意図的』に加担している」可能性があると指摘した。しかし、ホーグ判事はこの報告をほぼ否定した形となった。かつてジャスティン・トルドー前首相がCSIS(カナダ安全情報局)の報告を「単なる疑念」として切り捨てたように、ホーグ氏もNSICOPの議員たちを軽視した。皆さんならどちらを信じるのか? 情報に直接アクセスし、専門知識を持つ情報機関の関係者たちか、それともそうしたアクセスが限られた裁判官か?
さて、51の勧告に話を戻す。オンタリオ州の州議会選挙、自由党のリーダーシップ選挙、そして連邦選挙が数か月以内に予定されている。これらを不正干渉から守るために、この勧告を即座に実行すると考える人がいるだろうか。私はそうは思わない。
結局、カナダ国民は「感情を和らげるだけの報告書」を受け取ったに過ぎない。「問題はあるが深刻ではない」「干渉はあったが選挙結果には影響しなかった」「情報は無視されたが改善する」そのような言い訳が並ぶ内容である。
この調査は16か月の時間を費やしながら、事態の深刻さを正直に評価できなかった。また、国境を超えた弾圧問題についても、調査の対象外としてわずかにしか触れられなかった。外国干渉が問題だと考える人々は、国境を超えた弾圧問題について知るにつれ、さらに衝撃を受けるだろう。
こうしてまた一つの「調査」が棚にしまわれ、ほこりをかぶることになる。そして、いつの日か、別の問題について新たな調査が始まるだろう。だが、神様に感謝する。ホッケーがある限り、カナダ人は大丈夫だ!
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