ファストフードチェーン KFC(ケンタッキー・フライド・チキン) の米国本社が、現在のケンタッキー州ルイビルからテキサス州プレイノへ移転を決め、親会社であるヤム・ブランズが発表した。移転は半年以内に行われると言う。
従業員の移転と支援措置
この移転に伴い、約100人の社員がプレイノへ異動となるほか、リモートしている90人の社員も18か月以内に移動を求められる予定だ。ヤム・ブランズは、従業員の移転を支援するため、引っ越しや生活の移行に関するサポート を提供するとしている。
同社は今回の移転をグループ全体の組織再編の一環と位置付けている。KFCとピザハットの本社は、テキサス州プレイノに統合され、タコベルとハビット・バーガー・グリルの本社は、カリフォルニア州アーバインに残ることになる。
ヤム・ブランズのデイビッド・ギブス最高経営責任者(CEO)は、「この移転により、持続的な成長が可能となり、顧客、従業員、フランチャイズ加盟者、株主にとってより良い環境を提供できる」とコメントしている。
ケンタッキー州とのつながりは維持
1930年に、ケンタッキー州コービンのロードサイドモーテルは、KFCの創業者カーネル・サンダースは、初めて、フライドチキンの提供を始めたメモリアルな場所である。
今回の本社移転により、KFCは本社をケンタッキー州外に移すことになるが、完全に撤退するわけではない。
ヤム・ブランズによると、ルイビルには引き続き企業オフィスとKFC財団を維持する。また、新たに旗艦店(フラッグシップストア)を開設し、ルイビルでのブランドの存在感を強める考えだ。
さらに、KFCはケンタッキー州との長年の関係を記念し、ルイビル大学のビジネススクールに100万ドル(約1億5千万円)を寄付し、Yumブランド奨学金を設立すると発表した。
ケンタッキー州知事「残念」
近年、テキサス州に本社を移転する企業が増加 している。低税率や企業に優しい政策などを背景に、チャールズ・シュワブ、オラクル、テスラ、ヒューレット・パッカードなど多くの大手企業が同州へ移転した。
しかし、この決定に対し、ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事は「残念だ」と述べた。「KFCの名前には「ケンタッキー」が入っており、州の伝統や文化を象徴するブランドだ」とし、移転の再考を求めている。
また、ルイビル市長のクレイグ・グリーンバーグ氏も、「KFCはルイビルで生まれ、ケンタッキー州を象徴するブランドだ」とコメントした。
一方で、両者ともルイビルに残るKFC財団や企業オフィスの存続には感謝を示し、今後もKFCと協力し、ルイビルでの事業拡大を目指す考えを明らかにしている。
「ヤム・ブランズの経営陣と協力し、ルイビルでのKFCの存在感を高める努力を続ける」とグリーンバーグ市長は述べた。
本件について、大紀元はYum! Brandsに追加コメントを求めている。
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