【プレミアムレポート】トランプ大統領就任1か月の評価は? 3万人以上のエポックタイムズ世論調査の結果

2025/02/25 更新: 2025/02/26

トランプ大統領はホワイトハウスに戻り、2期目の政権運営を開始した。彼は自身の掲げるビジョンを果敢に実行しており、エポックタイムズの世論調査では、就任から30日間の政策に対して多くの支持を集めていることが分かった。

不法移民の取り締まり強化や、連邦政府における多様性・公平性・包括性(DEI)政策の撤廃など、トランプ大統領は一連の大統領令を通じて大規模な政策変更を実施。これにより、政府の歳出削減額は数十億ドルに達し、不法入国の急減といった具体的な成果もすでに出始めている。

英語大紀元の調査には3万人以上が参加し、特に国境警備、学校でのトランスジェンダー思想への対策、政府業務効率化省(DOGE)の設立による行政改革と税負担の軽減といった政策に対する支持が顕著だった。

一方、FEMA(連邦緊急事態管理庁)の廃止や、カナダ・メキシコへの関税導入、デンマークからのグリーンランド買収計画には、反対意見が比較的多かった。

調査結果の概要

トランプ政権は就任から30日間で92%の支持を集め、そのうち87%が「強く支持」と答えた。

一方、不支持率は8%にとどまり、「強く反対」と答えた人は7%に過ぎなかった。

トランプ大統領の政策支持率は特に55〜64歳の回答者の間で最も高く、90%が強く支持し、さらに4%が「やや支持する」と回答している。

トランプ大統領は2025年2月18日、フロリダ州パームビーチで演説を行った(Joe Raedle/Getty Images)

全体的な傾向としては、トランプ2期目政権の最初の1か月間に対する強い支持が示されている。一方で、トランプ氏の政策をめぐる訴訟が相次ぎ、議会を無視していると主張する民主党議員の激しい反発も巻き起こっている。

さらに、トランプ氏の大統領令が憲法上の危機を招く可能性があると批判する声も一部で上がっている。

不法移民への取り組み

トランプ政権の国境警備強化策は、最も高い支持を集めた。

圧倒的多数の92%が強く支持し、さらに3%が「やや支持する」と回答。一方で、不支持はわずか4%にとどまり、そのうち「やや不支持」は2%だった。

移民政策と国境管理は、2024年の大統領選挙で有権者の最優先課題の一つとなった。経済問題(インフレや生活費の高騰)と並んで最も関心が高かった分野であり、選挙前の世論調査では、違法入国者の過去最高記録と、バイデン政権下でインフレ率が9%に達したことへの広範な懸念が浮き彫りになっていた。

就任初日、トランプ大統領は国境警備と不法移民の強制送還に関する10本の大統領令と布告に署名。「キャッチ・アンド・リリース(逮捕後、審理まで不法移民を一時釈放)」政策を撤廃し、仮釈放の例外措置に使用されていたCBP Oneアプリを停止。また、メキシコに対し関税の引き上げをちらつかせることで圧力をかけ、1万人の部隊を配備させて麻薬取引の取り締まりと移民管理の強化を促した。

強制送還政策も高い支持を得ている。86%が強く支持し、8%が「やや支持する」と回答。反対はわずか5%だった。

トランプ政権の国境担当責任者トム・ホーマン氏によると、バイデン政権時の移民危機ピーク時には1日あたり1万1千人以上の不法入国者が拘束されていたが、現在では300人以下に激減しているという。

「私は1984年から国境警備隊員として勤務していますが、これほど低い数字は記憶にありません」とホーマン氏は2月17日に語った。

1月23日、アリゾナ州ツーソン国際空港で不法移民たちが国外追放便の離陸を待っている(Dept. of Defense photo by Senior Airman Devlin Bishop)

トランスジェンダー思想とDEI

トランプ大統領のK-12(幼稚園から高校まで)の学校教育からトランスジェンダー思想を排除する方針は、圧倒的な支持を受けた。
94%が賛成し、反対は5%にとどまった。中立的な意見はほとんど見られなかった。

この方針を推し進める大統領令「K-12教育における過激な思想教育の終焉」は、以下の施策を柱としている:

  • ジェンダー思想、批判的人種理論(CRT)、平等に基づく政策を推進する学校への連邦資金を停止
  • 各州および地方の司法長官が、教師による不適切な指導、無許可の医療アドバイスや治療、保護者の同意なしに生徒の性別変更を支援する行為に対し、米司法長官と連携して措置を取るよう指示

また、トランプ大統領はより広範なトランスジェンダー政策として、「アメリカは男性と女性という二つの性別のみを認識する」とする大統領令を発令。

大統領令は「これらの性別は変更できず、根本的で議論の余地のない現実に基づいている」としている。

さらに、未成年者向けの性転換手術やホルモン治療への連邦支援を廃止し、これらの医療行為を「化学的・外科的な身体の損壊」と批判した。

トランプ政権のDEIプログラム撤廃政策も、強い支持を集めた。
90%が「強く支持」し、2%が「やや支持する」と回答。反対意見はわずか7%だった。

トランプ氏は選挙期間中からDEIの取り組みを「差別的かつ税金の無駄遣い」と批判しており、大統領就任後、迅速に連邦政府機関や政府資金を受ける機関でのDEIプログラムを廃止する3本の大統領令に署名した。

ただし、未成年者への「性転換治療」に対する資金供給を打ち切る大統領令は、2人の連邦判事によって差し止められた。

ACLU(アメリカ自由人権協会)は、トランプ大統領の性別定義に関する方針を「差別的」と批判。また、公民権団体はDEI廃止政策に対し、「構造的不平等や差別と闘うために必要だ」として訴訟を起こしている。

2021年6月12日、バージニア州リースバーグのラウドン郡政府センターで行われた集会で、人々が学校での批判的人種理論(CRT)の教育に反対するプラカードを掲げている(Andrew Caballero-Reynolds/AFP via Getty Images)

外国援助、USAID、WHO

トランプ大統領が米国際開発庁(USAID)の大規模な改革と対外援助の一時停止を実施したことに対し、強い支持が寄せられている。
調査によると、89%の回答者がUSAIDの再編を支持し、反対はわずか7%にとどまった。
トランプ氏は就任初日に、すべての対外援助の支出を90日間凍結し、それらの支出がアメリカの国益に合致しているかを再評価するよう命じた。さらに、USAIDを国務省に統合する取り組みも開始。これは長年保守派が提唱してきた政策である。

また、トランプ氏がWHOおよびパリ気候協定からの離脱を決定したことについても、85%が強く支持し、5%がやや支持する結果となった。反対は8%にとどまる。

トランプ氏は、パリ協定がアメリカに不公平な制約を課している一方、他国は高排出を続けられる状況を問題視。政権の試算では、協定を脱退することで米国は1兆ドルを節約できるとされている。

また、WHOからの離脱に関する大統領令では、「財政的負担」「政治的干渉」「コロナウイルスのパンデミックを含む世界的な健康危機の管理ミス」が理由として挙げられた。

ワシントンにあるUSAID(米国際開発局)の本部ロビー(Kevin Dietsch/Getty Images)

政府縮小とDOGEの役割

テック起業家のイーロン・マスク氏が主導するDOGEが、トランプ氏の政府支出を削減、無駄を減らす計画の中心的な役割を果たしている。

調査では、88%がDOGEを強く支持し、4%がやや支持する。反対は7%にとどまった。
DOGEはすでに無駄な政府契約を見直すことで約550億ドルを節約しており、2026年7月4日の解散までに連邦支出を2兆ドル削減することを目標としている。

トランプ氏は「DOGEはすでに数十億ドル規模の浪費、詐欺、不正を発見した」と述べ、マスク氏も「アメリカが財政的に健全であり続けるには、連邦政府の支出削減が不可欠だ」と強調した。

また、DOGEは政府がメディア購読料に費やす支出を削減する取り組みも進めており、ニューヨーク・タイムズやポリティコなどのメディア購読契約を廃止する政策は、92%の支持を集め、反対は4%にとどまった。

ホワイトハウスのレビット報道官は、政府が「数百万ドルの税金をメディア購読に費やしていた」と指摘。
ポリティコには800万ドル以上、ニューヨーク・タイムズには300万ドル以上の支出が確認されており、DOGEが公開したリストによると、これらの契約はすでに廃止された。

トランプ氏の連邦緊急事態管理庁(FEMA)を廃止し、災害対応を州政府に移管する提案に対する支持は、他の政策と比べるとやや低かったが、65%が強く支持し、20%がやや支持する。反対は9%にとどまった。

一方で、アメリカ教育省を解体し、その権限を州政府に移譲する提案は、78%が強く支持し、12%がやや支持する。反対は8%だった。

エネルギーと環境政策

トランプ大統領による国内エネルギー生産の強化が広く支持されている。トランプ氏は「アメリカのエネルギー独立を実現する」と宣言し、国家エネルギー緊急事態を発動。少なくとも8つの大統領令がエネルギーに焦点を当てており、そのうち4つはバイデン政権時代の200以上の規則を撤回し、官僚主義を削減するものだ。

特に石油・天然ガスの掘削拡大に関する政策には92%が賛成し、反対は6%にとどまった。

また、EVや再生可能エネルギーへの補助金廃止については76%が支持し、12%が「やや支持する」、反対は6%だった。

環境規制の撤廃には88%が賛成し、そのうち17%は「やや支持する」と回答。一方、9%が反対し、環境規制に関しては若干の意見の違いが見られた。

トランプ氏は国家気候タスクフォースや国務省の気候対策部門を廃止するなど、バイデン政権の気候関連命令を撤回した。「アメリカのエネルギーを解放する」という大統領令は、温室効果ガスの社会的コストを評価する委員会を解散し、各政府機関に対し、その他の温室効果ガス規制の見直しを指示した。

2024年6月28日、テキサス州ノーランの畑にある石油ポンプジャッキ(Brandon Bell/Getty Images)

中国、グリーンランド、その他

トランプ政権の国際舞台における初期の行動は、概して確固たる支持を得ていた。

中国に対する強硬姿勢は圧倒的な支持を受けている。中国共産党(中共)の影響力拡大に対抗する取り組みには83%が強く賛成し、10%が「やや支持する」と回答。反対はわずか3%だった。

アメリカの情報機関は、中国がアメリカの技術を盗み、サイバー攻撃を仕掛け、フェンタニル密輸を通じて薬物問題を悪化させていると指摘。これを受け、トランプ氏は中国製化学物質に関税を課す大統領令に署名した。フェンタニルはモルヒネの50~100倍の強さを持つ合成オピオイド(ケシに由来する薬物オピエートを基に合成)で、アメリカ国境では過去3年間毎年55万ポンド(約250トン)が押収されている。

また、中国製品に10%の関税を課し、カナダ・メキシコからの輸入品にも25%の関税を検討。しかし、両国が国境警備強化で合意したため、一部の措置は保留された。

中国、カナダ、メキシコへの関税政策には61%が強く支持し、21%が「やや支持する」と回答。反対は9%だった。

トランプ氏は、NATOの防衛費負担とウクライナ支援の見直しを主張し、90%が支持。反対は8%にとどまった。

トランプ氏はNATO加盟国の国防費拠出義務(GDPの2%)が守られていないと批判し、新たに5%への引き上げを提案。また、ウクライナ戦争については「欧州がより多くの財政負担を負うべき」と主張。和平合意後の安全保障についても、欧州が主導すべきと強調した。

さらに、パナマ運河の再管理権取得を検討する案には84%が支持し、8%が反対、8%が中立とした。

トランプ氏が提案したグリーンランドの買収案は、今回の政策の中で最も賛否が分かれた。34%が強く支持し、28%が「やや支持する」。一方で、25%が中立、13%が反対と回答し、この政策は慎重に検討すべきとの意見が多かった。

2025年2月10日、ヒューストンのヒューストン港湾局での輸送コンテナ(Brandon Bell/Getty Images)

記入式回答

記述式の回答では、政府支出の削減と債務削減が最も重視されており、国境警備、税制改革、連邦政府改革がそれに続いた。

多くの回答者が、大幅な歳出削減や均衡予算の実現、経済への政府介入の縮小を求めている。また、一部の連邦機関の廃止を訴える意見も多く、政府の非効率性に対する強い不満が見られる。

国境警備と移民政策の強化は、2番目に多く言及された問題で大量強制送還や亡命申請の厳格な制限、いわゆる「聖域都市」の廃止を求める声が上がっている。

税制改革についても関心が高く、減税や税制の簡素化を支持する意見が多く寄せられた。特に、内国歳入庁(IRS)の廃止や大幅な再編を支持する回答者も多い。

また、インフレ、経済成長、雇用創出が大きな懸念事項であり、規制緩和や企業活動の促進政策を支持する意見が多く見られた。さらに、社会保障や医療費負担の軽減、政府の不正行為への説明責任と訴追を求める声も上がっている。

選挙の公正性も重要な課題とされ、有権者ID法の厳格化と監査の強化が支持されている。そのほか、エネルギー自給の強化、軍事力の向上、中国に対するより厳しい姿勢についても頻繁に言及している。また、議員の任期制限や司法の独立を支持する意見も多く見られた。

全体として、回答者の意見は、大幅な歳出削減、国境警備の強化、減税、官僚機構の縮小、経済成長の促進、政府の説明責任の強化を求める傾向が強いことが明らかになった。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。