同性婚訴訟 名古屋高裁「違憲」判決 全国4例目

2025/03/07 更新: 2025/03/09

名古屋高等裁判所は2025年3月7日、同性婚を認めない現行法制度は憲法に違反するとの判決を下した。現在、全国の高裁で違憲判決が出るのは4件目となる。

判決は、同性カップルが婚姻制度から排除されている現状が「個人の尊厳に対する合理的配慮を欠き、立法府の裁量の範囲を超えている」として、憲法24条2項に違反すると判断した。

24年には札幌、東京、福岡の高裁が同様の違憲判決を出しており、名古屋高裁の判決は4件連続となった。

全国5か所で同性婚訴訟6件が提起され、うち4件は高等法院で判決が下された。 2021年3月に札幌地裁が憲法14条1項違反の初判決を下して以来、大阪地裁は地方調停決定で相次いで違憲判決を下している。

東京弁護士会によると、憲法24条1項は法律上同性のカップルの結婚の法制化を禁止していないと明確に判断したこと、及び、法律上同性のカップルについて、結婚を含む法制度が現行法上何もないことが違憲であると判断したことだとしている。

同性婚をめぐっては、その国の文化、歴史、宗教、政治的背景によって大きく異なり、認可不認可が分かれている。国と理由は以下の通りだ。

認可されている主な国

オランダ 2001年に世界で初めて同性婚を合法化。平等権の実現が主な理由。

台湾 2019年にアジアで初めて同性婚を合法化。人権保護と社会の多様性尊重が主な理由。

タイ 2025年1月23日、タイは東南アジアで初めて同性婚を合法化した。

ドイツ 2017年に同性婚を合法化。平等権の実現と差別撤廃が主な理由。

アメリカ 2015年に連邦最高裁判所が同性婚を合憲と判断し、全州で合法化。平等権の保護が主な理由。

アメリカではアイダホ州下院で1月27日、同性婚を憲法上の権利として認めた2015年の判決を米最高裁に覆すよう求める決議を可決した。「一人の男性と一人の女性の結合という結婚の自然な定義を回復する」よう求めている。

同性婚を認可していない国々

日本  現時点で同性婚は法的に認められていない。憲法解釈や社会的合意形成が課題となっている。

ロシア 同性婚を禁止。伝統的家族観の保護が主な理由。

中国 同性間の性交渉は1997年から合法化されているが、同性婚は認められていない。

インド 2018年に同性間の性交渉は合法化されたが、同性婚は認められていない。

多くの中東諸国 サウジアラビア、イラン、クウェート、アラブ首長国連邦などでは同性間の性交渉自体が違法であり、同性婚も認められていない。

アフリカ 南アフリカ共和国を除き、同性婚を認めていない国が多数。

東南アジア タイを除き、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどでは同性婚は認められていない。

中央アジアの国々 カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなどでも同性婚は認められていない。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。
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