トランプ政権は3月24日、連邦政府の試用期間中の職員数千人を復職させるよう命じた下級審の命令を停止するよう、連邦最高裁に緊急の介入を求めた。
この申し立ては、カリフォルニア北部連邦地裁および第9巡回区控訴裁判所が、政権側の差し止め要請を却下したことを受けて行われた。サラ・ハリス代理訟務長官は、連邦最高裁に「行政上の一時差し止め命令」を出すよう要請。これにより現時点で復職している職員については、少なくとも職員を「有給休職扱い」のままにとどめる一方で、各省庁が本格的な復職手続きを進める義務が、免除されるべきだと主張した。
この申し立ては、カリフォルニア北部連邦地裁および第9巡回区控訴裁判所が、政権側の差し止め要請を却下したことを受けて、行われた。
下級審の命令に政権が反発
問題となっているのは、「全米連邦職員労働組合など 対 米人事管理局(OPM)など」の訴訟である。
カリフォルニア北部地裁のアルサップ判事は、今月初め、人事管理局が他機関の職員を解雇したことについて「権限を逸脱していた」と判断し、復職を命じた。
第9巡回区控訴裁では、判事2名がこの判断を支持し、「この段階での差し止めは、現状を混乱させる」として政権側の申し立てを退けた。一方、ベイド判事は反対意見を示し、部分的な差し止めを認めるべきだったと述べた。
サラ・ハリス氏は提出書類の中で、下級審は「第三者に、連邦政府とその職員との雇用関係を乗っ取らせた」と、強く非難した。
さらに「今回の復職命令は、他の最近の判決と同様に、権力分立の原則を侵害している。わずかな根拠と極めて短い審理期間のもとで、連邦政府の人事管理という行政権限を、たった一人の地方裁判所判事が、掌握したかのような内容になっている」と、批判した。
別の訴訟でも政権が最高裁に訴え
今回の訴訟は、政権が抱える他の訴訟とも関連している。政権は、別の訴訟でも下級審が命じた20億ドル(約3000億円)の対外援助支出命令の差し止めを、最高裁に申し立てていた。最高裁は、3月5日にその差し止め申請を退けたが、複数の最高裁判事が、反対意見を表明していた。
アリート判事は、反対意見の中で「管轄権すら持たない可能性がある一人の地裁判事に、政府へ20億ドルの支出を命じる権限が本当にあるのか」と、強い疑問を呈した。
「この問いに対する答えは、断固として『ノー』であるべきだ。しかし、最高裁の多数派はそう考えなかったようだ。私は驚きを禁じ得ない」と、述べた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。