ノババックス製コロナワクチン FDAが条件付き正式承認

2025/05/19 更新: 2025/05/19

アメリカ食品医薬品局(FDA)は5月16日、ノババックス社が開発したコロナワクチンについて、待望の正式承認を与えた。ただし、特定の条件付きでの承認となる。

このワクチンは、アメリカで唯一の従来型(タンパク質ベース)コロナワクチンで、これまでは12歳以上を対象とした緊急使用許可(EUA)のみにとどまっていた。

今回、FDAは65歳以上の成人に対しては制限なく接種を認めた。一方で、12〜64歳の人は、コロナに感染した場合に重症化リスクがある基礎疾患を持っていることが使用の条件となる。

一方、競合のモデルナ社およびファイザー社によるmRNA型ワクチンは、12歳以上であれば無条件で接種可能で、一部制限はあるが、生後6か月からの使用も承認されている。

米疾病対策センター(CDC)は、2025年6月に専門家委員会を開き、コロナワクチンの年間接種を全世代に勧め続けるべきか、それとも高リスクの人々に限定すべきかを議論する予定だ。今回のFDAの判断は、その方針決定に向けた初期の動きとして注目されている。

ノババックス社の最高経営責任者(CEO)ジョン・C・ジェイコブス氏は今回の承認を歓迎し、次のようにコメントした。

「市場調査やCDCの統計を見ると、高齢者や基礎疾患を持つ人が、季節的なコロナワクチン接種を希望する傾向が最も高いことがわかった。今回の正式承認は、こうした人へのわれわれの取り組みを示すものであり、タンパク質ベースのワクチンという選択肢を提供するための大きな一歩だ」

FDA 詳細な制限理由は示さず 複数の追加試験を義務付け

FDAは5月16日付の承認通知の中で、なぜ年齢や健康状態に応じて使用を制限したのかについては説明しなかった。ただし、約3万人を対象とした臨床試験で、安全性と有効性を確認したと明記している。

ノババックス社によれば、今回の正式承認にあたり、FDAは通常よりも多くの「承認後の追加試験(ポストマーケティング試験)」を求めているという。

特に注目されるのが、心臓への影響を評価する長期調査だ。

「心筋炎」と「心膜炎」のリスクを検証するこの研究は、2031年12月31日までに完了させ、最終報告は2032年9月30日までに提出するよう求められている。さらに、50〜64歳で基礎疾患のない人々にワクチンを打ち続けることが本当に有益かどうかを調べる別の研究も実施することになっている。

スタンフォード大学で神経生物学と生体工学を教えるマイケル・リン博士は、今回の正式承認について、「これは、ノババックス社が緊急使用の枠を超えて正式承認を受けるに足りる有効性と安全性の基準を満たしたことを示している」と投稿した。

エポック・タイムズで国家政治、航空宇宙、航空業界を担当する記者である。以前は「サラソタ・ヘラルド・トリビューン」でスポーツ、地域政治、速報ニュースを担当していた。
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