上海の家主が賃借人を求め家賃を値下げ 中国の複数都市で賃貸市場が冷え込み

2025/06/07 更新: 2025/06/07

最近、上海の家主たちは、できるだけ早く物件を貸し出すために家賃を引き下げる傾向が強まっている。中には、家をリフォームし、新しい家電を導入して、物件のコストパフォーマンスを向上させ、借り手を獲得しようとする家主もいる。

6月5日付の『時報週刊』によると、上海の不動産仲介業者である張建剛(仮名)氏は、賃貸市場がますます厳しくなっていると述べている。特に旧市街の賃貸は難しく、昨年は毎月7、8件の取引があったのに対し、今年は毎月わずか2、3件の取引しかないとのことだ。「上海の物件は賃貸に困らない」という現実が変わりつつある。

家主の朴易(仮名)氏の物件は上海市内にあり、近くには外国語学校があり、地下鉄も近いため、立地の有意性は明らかだ。昨年末の相場に基づくと、家賃は月5200元(約10万4千円)を下回らないが、7か月待っても物件は未だに貸し出せなかった。早く賃貸できるようにするため、朴氏は壁を再塗装し、家電を新しくし、時折仲介業者にお金を渡して自分の物件をもっと宣伝してもらうよう頼んでいる。しかし、家賃を月4800元(約9万6千円)に下げても、物件を内見する人は依然としてほとんどいない。朴氏のような家主は上海では特別な存在ではない。

張氏は今年に入ってから、家主たちが時折メッセージを送ってくることを明かした。時には物件が長い間掲示されているのに、なかなか借り手が見つからないと不満を述べることもあれば、同じエリアの他の家主の掲示価格を尋ねることもある。

報道によると、一部の家主は耐えきれず、積極的に価格を下げて早期に物件を貸し出そうとしている。中には仲介業者を介さず、様々なソーシャルメディアで賃貸希望の投稿を自ら行う家主もいる。

賃貸市場が冷え込んでいる原因について張氏は、最近一年間にわたり、仕事の不安定さゆえに賃貸契約を解除し、上海市を離れるか、生活のプレッシャーが比較的小さい都市に移ることを選ぶ人が続出していると述べている。また、上海周辺の都市である杭州市や蘇州市は人材誘致政策を打ち出し、賃貸補助金や定住奨励金を提供しており、これらの政策が上海に住む一部の労働者にとって大きな魅力となっている。住宅市場が冷え込む中、新築住宅購入の優遇政策が一部の実需層の住宅購入を促している。

上海市だけでなく、中国の他の都市でも賃貸市場は冷え込んでいる。中指研究院(中国の不動産専門研究機関)が発表した2025年第1四半期の全国住宅賃貸市場の報告によると、第1四半期において、50都市の住宅平均賃料は累計で0.44%下落した。

最近発表された「2025住房租賃卓越表現報告」でも、今年4月に重点50都市(北京市、上海市、広州、深セン、杭州、成都、武漢市などを含む)の住宅平均賃料単価が前年同月比で4.2%下落したことが示されている。同時に、今年は4か月連続で、50都市の単月平均住宅掲載賃料が前年同期を下回っている。

上海市のある家主は、現在の賃貸市場で生き残るルールは非常にシンプルで、借り手を顧客(甲方)として扱い、コストパフォーマンスで入居者を獲得すること、「お金を受け取れる人だけが本当の家主だ」だと述べている。

ネットユーザーの「問道」は次のように考えている。「労働者にとって、大きな出費は家賃だが、家賃は仲介業者や二次貸主によって故意に引き上げられている。家賃は合理的な価格に戻るべきであり、大多数の若者を搾取して、恋愛も結婚も子供を持つこともない『躺平(寝そべり)』状態にしてはいけないのだ」

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