米軍空母艦載機訓練へ向け準備進む 馬毛島で空自隊員60人が勤務開始へ

2025/06/21 更新: 2025/06/21

鹿児島県西之表市に位置する馬毛島で、米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を実施するための自衛隊基地整備が進んでいる。防衛省は6月17日、航空自衛隊の馬毛島先遣隊が7月22日にも現地での勤務を開始すると発表した。これにより、約60人の空自隊員が基地工事中の馬毛島で本格的に勤務することになる。

先遣隊は、今年3月に福岡県春日市の航空自衛隊春日基地で発足し、馬毛島基地(仮称)の運営に必要な規則作成や装備品の受け入れ準備などに従事してきた。これまで約90人規模で活動してきたが、そのうち約60人が段階的に種子島の中種子町にある宿舎に移り、7月下旬からは毎日船で馬毛島へ通勤する予定である。

馬毛島では、航空自衛隊基地の整備とともに、アメリカ軍空母艦載機によるFCLPの移転が計画されている。先遣隊は今後、馬毛島の上下水道や電気の管理、装備品の受け入れなど、基地運営の基礎となる業務を担うことになる。

基地工事は現在も続いており、資材や人手の不足などの影響で当初の計画より3年遅れ、2030年3月末の完成を目指している。なお、馬毛島での基地建設や米軍訓練の移転については、地元住民や一部団体から反対の声も上がっているが、日米両政府は安全保障上の重要な拠点として整備を進めている。

現時点で、訓練開始の具体的な日程や今後の運用詳細については明らかにされていない。

陸上離着陸訓練(FCLP)

米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP:Field Carrier Landing Practice)とは、空母に搭載されている航空機のパイロットが、実際に空母の甲板に着艦する前に、陸上の飛行場を使って行う離着陸の訓練である。この訓練では、滑走路を空母の甲板に見立てて、パイロットが何度も離着陸を繰り返し、空母での着艦に必要な高度な技術を身につけたり維持したりすることを目的としている。

FCLPは、空母が出港する直前や、パイロットの資格を維持するために定期的に行われる。昼間だけでなく、夜間にも訓練が行われることが多い。特に夜間の訓練は難易度が高く、パイロットの技量を確認するうえで重要である。

訓練の際には、陸上の滑走路に空母の甲板と同じ幅や長さを模した目印が設けられ、着艦時と同じ状況を再現する。着陸の際には、パイロットは空母と同様の手順でアプローチし、技術を磨く。

この訓練は、艦載機の安全な運用や、パイロットの技術維持にとって不可欠なものであり、日米の安全保障体制にも大きな役割を果たしている。

 

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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