B-2爆撃機が長距離奇襲 米軍がバンカーバスターでイラン核施設を破壊

2025/06/23 更新: 2025/06/24

米軍はB2爆撃機とバンカーバスター、トマホークミサイルを駆使し、イランの主要核施設を急襲した。フォルドゥ、ナタンズ、イスファハンを標的としたこの作戦は、トランプ大統領の決断と最新兵器の投入で世界に衝撃を与えた。

米軍は陽動作戦の戦略を駆使し、B-2爆撃機によってイランの三大核施設を奇襲した。フォルドゥの地下壕には14発の巨大バンカーバスター爆弾を高精度で投下し、ナタンズとイスファハンには30発のトマホークミサイルを発射して制圧した。米軍は陽動作戦から電磁妨害に至るまで、孫子の兵法を実地で展開し、損害ゼロで異次元の打撃を完遂した。現代戦の戦略的精髄を紐解く鍵がここにある。

トランプの奇襲戦略 B-2爆撃機が三大核施設を急襲

6月21日夜、トランプ大統領は自らの意思で奇襲作戦を発動した。SNS投稿を通じて、アメリカ空軍がイランのフォルドウ、ナタンズ、イスファハンの三核施設を破壊したと発表し、全てのアメリカ軍機がすでにイラン領空から離脱したことを明言した。その後の全米向け演説では、今回の作戦に参加した兵士を称賛するとともに、イランに対し、「平和を選ぶか、さらに深刻な悲劇に直面するか」の選択を迫った。

ここ数日間、トランプ大統領は攻撃を実行するとも見送るともとれる発言を繰り返していた。まさに虚実を巧みに使い分け、陽動作戦の戦術を地で行く展開であった。アメリカのネットユーザーが作成した画像には「私は攻撃するかもしれないし、しないかもしれない。いや、すでに攻撃したかもしれないし、誰も本当のところは知らない」と書かれていた。孫子の兵法における「虚実」を、トランプ大統領はまさに体得していた。

2025年6月21日、アメリカ軍のB-2爆撃機が「ミッドナイトハンマー」作戦の一環として、イランの核施設に対する長距離攻撃を行った際の図とタイムラインである。(アメリカ国防省/大紀元による図)

巨大バンカーバスター フォルドウに12発 ナタンズに2発 トマホーク30発が他の核施設を攻撃

アメリカ軍は今回の作戦に7機のB-2爆撃機を投入し、フォルドウ核施設に対して12発のMOPバンカーバスター爆弾を投下した。また、海軍の原子力潜水艦はナタンズとイスファハンに対して30発のトマホーク巡航ミサイルを発射し、さらに1機のB-2がナタンズに2発のバンカーバスターを投下した。

フォルドウ、ナタンズ、イスファハンはイランにとって最も重要な三つの核施設である。ナタンズには地上と地下の施設が存在する。過去8日間にイスラエルが空爆を実施し、地上施設をほぼ完全に破壊したが、イスラエルの分析では地下施設は無傷と判断された。そのため、アメリカはB-2爆撃機によってナタンズの地下核施設に追加攻撃を行った。

アメリカ軍の主たる攻撃目標はフォルドウ核施設であった。この施設はイランのクム市南方約30キロの山岳地帯に位置し、花崗岩層の下に建設されており、極めて高い防御性能を持つ。

花崗岩に覆われた要塞 フォルドウの強固な構造

花崗岩はコンクリートに比して極めて優れた建材である。火成岩に分類され、その圧縮強度は170~250メガパスカルに達し、通常の建築用コンクリートの5倍近い強度を示す。さらに、花崗岩は耐風化性・耐腐食性にも優れ、百年単位での耐久性を誇る。こうした特性により、風雨にさらされてもなお風格を保つ花崗岩の記念碑が多く存在する。

また、花崗岩は構造密度が高く、貫通が困難である。この特性が、世界各国の軍事要塞が花崗岩層の内部に建設される主因となっている。最も著名な例がアメリカのシャイアン・マウンテン基地である。

冷戦時代の遺産 シャイアン・マウンテンの堅牢さ

コロラド州ロッキー山脈に位置するシャイアン・マウンテン基地は、冷戦期の北米防空司令部(NORAD)の中枢を担った施設である。主要制御区画は600メートルの花崗岩の奥に構築され、全施設はバネ構造の耐震基礎上に設置されている。核爆発や電磁パルス、生物化学兵器の影響にも耐え得る仕様であり、外部がいかなる状況にあっても内部での作業は継続可能である。

施設に入るには、25トンの防爆扉2枚を経由しなければならず、短時間で密閉して外界との連絡を遮断できる。基地内部には独立した水・電気・空気・通信システムが整備されており、数百人が数か月間自給自足して滞在できる設計となっている。

この基地は、当時NORADの監視中枢として、24時間体制で全世界のミサイル・衛星・航空機を監視し、数秒以内に警報を発し、迅速な軍事対応を可能とした。

イランの戦略 地下核施設とウラン濃縮

イスラエルやアメリカの空爆を受け、イランは地上核施設の脆弱性を早期に認識した。その結果、2006年以降、山岳地帯の岩盤内にフォルドウ核施設の建設を進め、2009年にその存在が公に知られるようになった。近年、イランは最新型のIR6遠心分離機を導入し、濃縮能力を急速に向上させていた。この施設は、60%以上のウラン濃縮を可能とし、兵器級濃縮ウランの製造能力も保持していた。

イスラエルがアメリカの関与を必要とした理由

イスラエルが今回の戦争においてアメリカの関与を求めた理由は明確である。アメリカは世界で唯一、花崗岩層の下に隠されたフォルドゥ核施設を破壊可能な最強のバンカーバスター爆弾を保有しているからだ。GBU-57は世界最大級のバンカーバスターであり、重量は約14トン、長さ6.2メートルに達し、60メートルのコンクリート層を貫通する性能を備える。とはいえ、花崗岩はコンクリートよりもさらに高い硬度を持つため、その防御力は圧倒的である。

たとえアメリカのバンカーバスター爆弾が地下60メートルまでの目標を攻撃可能であっても、花崗岩層の防御を突破するには深度が大幅に制限されることは避けられない。そのため、アメリカ軍は今回の作戦で12発のGBU-57を使用し、層を重ねて爆撃する手法を取った。ミサイルを同一地点に連続して命中させることにより、最初の爆弾で20〜30メートルの空間を開け、次の爆弾がさらに深部を打ち抜く。これを3〜4発繰り返すことで、敵の地下要塞に達し、効果的な爆発を実現する戦術である。

昨年、イスラエルがレバノンにおいてヒズボラ指導者ナスルラを排除した際にも同様の戦術を実施した。イスラエルは戦略爆撃機を保有しておらず、F-15、F-16、F-35といった戦闘機を主に運用しているため、搭載可能な爆弾にも制限があった。当時はアメリカが供与したBLU-109バンカーバスターを用い、爆撃任務を遂行した。

BLU-109は重量約2千ポンド(約907キログラム)、長さ2.4メートルであり、鉄筋コンクリートを約2メートル貫通する能力を持つ。ナスルラは民間建築物の地下シェルターに潜伏していたため、イスラエルは同地点に複数のBLU-109を連続投下し、最終的に標的の深部に到達して致命的な打撃を加えた。

当時の映像には、車とバイクの運転手が画面に登場した直後、爆弾が路上に命中し、地中深くに突き刺さる様子が記録されていた。数秒後に巨大な爆発が発生し、粉塵が視界を覆い尽くし、その直後に炎が地下から噴き出した。これこそがアメリカのバンカーバスターの威力である。今回の目標はそれ以上に堅牢であり、アメリカはMOP(大型貫通爆弾:Massive Ordnance Penetrator)という最大級の爆弾を投入した。

陽動作戦から電磁妨害まで 孫子の兵法を体現した米軍

作戦実行時、イラン国内各地でGPSや電磁信号の異常が報告された。これはアメリカ海軍がEA-18G「グラウラー」電子戦機を出動させ、作戦地域に対して電磁妨害を加えた結果であり、防空設備ばかりか民間設備にも影響を及ぼした。

とりわけ注目すべきは、「陽動作戦」ともいえる欺瞞戦術である。アメリカ空軍はミズーリ州のホワイトマン基地から2組のB-2爆撃機を発進させた。第1組は先行して極秘に東へ進行し、爆撃任務に従事した。一方、第2組は6月21日未明に発進し、陽動の任を担った。

外部にはB-2爆撃機の飛行データが非公開とされた一方で、給油任務を担うKC-135空中給油機の飛行データは意図的に公開された。これにより、軍事ファンたちはその動向を追跡できた。

彼らは給油機の動きからB-2のルートを推測し、爆撃機が6月21日午前4時30分にホワイトマン基地を離陸し、午後4時にはハワイ周辺へ到達、6月22日未明にはグアム・アンダーソン空軍基地に着陸予定であると判断した。イランへの到達は6月23日未明と予測された。

こうした情報はネット上で広まり、世界中が「B-2は太平洋上空にある」と確信していた。その裏で、先行した第1組の爆撃機はすでに6月21日深夜にイラン上空に到達し、任務を遂行して安全に帰還していた。まさに軍事戦略教本に載るべき完璧な欺瞞作戦であり、オープンソースコミュニティが完全に翻弄された実例である。

今回のアメリカの軍事作戦は、「陽動作戦」など、孫子の兵法を巧みに応用した戦略であった。トランプ大統領は開戦の可能性をあえて曖昧にし、空軍は二手に分かれて作戦を展開した。一方は本命の攻撃部隊として行動し、他方は欺瞞の役割を果たした。

世界が太平洋上空に注目していた隙に、アメリカ空軍はすでに爆撃任務を完了し、フォルドゥ核施設には12発のMOPを投下、さらにトマホーク巡航ミサイル30発を発射してナタンズおよびイスファハンの核施設を破壊した。全ての作戦機は無傷で帰還し、損失は一切報告されていない。この作戦は、現代戦の次元を超えた一撃であった。

周子定
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