中国南部では広範囲にわたる洪水が発生し、各地で深刻な被害が相次いでいる。さらに、ダムの無警告放流により被害は拡大し、家屋の倒壊、車両の水没、食料や飲料水の供給停止といった事態が続発している。しかし、中共の指導部は、これらの状況に対して従来通り無関心な姿勢を取り続けている。

湖南省の住民：「この村を見てほしい、完全に水に浸かっている。前方に堤防があるが、そこもすでに水没している。本当に恐ろしい！」

6月18日以降、湖南省各地では激しい雨が降り続き、現地の気象当局は暴雨に対して3級、さらには2級の緊急対応を次々に発動した。6月23日に至るまで、降雨が収まる兆しは見られなかった。

　湖南省の住民は「今2階にいるので、見せますね、車が水に浸かっていた。この赤い車もさっきまで見えなかったのだが、今は水位が少し下がっている」と述べた。

6月23日、中共水利部は、江蘇省、浙江、安徽、河南、湖北、湖南、貴州、広西チワン自治区、重慶市の9つの省、市、自治区に対し、洪水対策としてIV級の緊急対応措置を継続すると発表した。湖南省では、澧水上流域で1998年以来最大規模となる洪水が発生し、省内の178か所のダムが一斉に放流を実施した。

湖南省龍山県の村民・王さんは「水量が本当に多い。多くの家が壊れ、家畜の豚や鶏、アヒルが流された。養魚池も被害を受け、魚が流れ出し、田んぼも水に浸かっている。作物の損失は甚大だ」と述べている。

空撮の映像では、湖南省北西部にある張家界市の都市部から農村まで広範囲が水に覆われ、多数の家屋や樹木が水没し、屋根だけが水面から顔を出している様子が確認された。

湖南省張家界市の村民・何さん

「あちらのゲートはすべて開放され、桑植でも放流が行われた。1階は完全に浸水し、2階まで水が届いた。田畑もすべて水没し、作物は全滅した。どの家庭も大きな損害を受けている。水も電気も止まり、食料も手に入らない」

広東省でも連日の大雨が続き、各地のダムが相次いで放流を実施した結果、下流の町や村では深刻な水害が発生した。

広東省茂名市大良鎮の村民・黄さんは「茂名市全体で放流が実施され、水位が急上昇した。大洪水により多くの地域が浸水し、甚大な損失が出ている。車や農地が水没し、村の道路は完全に冠水した」と述べている。

広東省肇慶市懐集県の綏江では、6月18日には過去70年間で最高の水位を記録し、市街地の広い範囲が水に覆われた。19日、水が引いた後の街には大量のゴミと水没した車両が残されていた。

肇慶市懐集県の住民は「これは百年に一度の災害だ。とくに中州区の市場周辺では、道路一面にゴミが積もり、洪水による泥が地面に厚くこびりついている」と述べている。

肇慶市懐集県の商人・林さんは「現在、水位はほぼ下がったが、水没した車の数は増え続けている。損失額は数億元にのぼると見られる。水は2階まで到達した。この数日間、電気も通信も遮断され、信号も機能していなかった」と述べている。

湖北省の恩施市、黄岡、宜昌、武漢、仙桃市などでも、6月18日以降、激しい雨が降り続いた。恩施州鶴峰県では累計降水量が659ミリを超えている。22日には一時的に雨脚が弱まったものの、24日夜から27日にかけて、再び西から東へと湖北省全域を新たな豪雨が襲う見込みだ。

これまでの豪雨の影響により、いまだ多くの地域では冠水が解消されていない。

恩施市、武漢、仙桃市など多くの地域では、町全体が冠水し、車両や住宅が浸水している。

安徽省でも各地で被害が深刻化しており、蚌埠市の市街地では、男性が冠水した道路でサーフィンをする姿も見られた。

一方、広西チワン族自治区、貴州、雲南省でも連日の豪雨が続いている。柳州市の融水県と三江県では、5日間の降水量が600ミリを超え、安陲郷では1027ミリに達した。

こうした降雨の影響により、6月21日から22日にかけて広西チワン族自治区の柳江、貴州省の沅江、雲南省の右江など27の河川で警戒水位を超える洪水が発生し、一部では警戒水位を3.7メートル上回った。

広西チワン族自治区河池市の住民・張さん

「これほどの水害は初めてだ。車はすべて水没し、都市全体が内水氾濫に襲われた。農地も広範に水没して作物は壊滅し、物資や飼育していた鶏・アヒル・ガチョウも流された。5月には干ばつで生活が厳しかったばかりなのに、今はさらに追い打ちをかけられている」

こうした広範な洪水と人道的危機にもかかわらず、中共指導部は国内の被災者を顧みることなく、中央アジア諸国に対して15億元（約304億円）の無償援助を堂々と発表した。

あるネットユーザーは次のように憤りを表明した。

「自分の子供は洪水に流され、両親は屋根で救助を求めたが誰も来なかった。家も失った。それなのに習近平は15億元を他国にばらまいている。中国人の命は、彼らにとっていったいどれほどの価値なのか？」