6月27日、アメリカのトランプ大統領は、自身のSNSプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」を通じて、数か月間続いたカナダとの貿易交渉を打ち切ったことを明言し、カナダに適用する新たな関税率をまもなく発表する方針を示した。
トランプ大統領は、交渉を打ち切る理由として、カナダ政府がアメリカ企業に対してデジタルサービス税(DST)を課す方針を打ち出したことを挙げ、「これはアメリカに対する直接的かつ公然たる攻撃に等しい」と断じた。
「この悪質な税制度に基づき、我々は本日をもってカナダとのすべての貿易交渉を終了し、即時発効とする。今後7日以内に、カナダがアメリカとの取引において支払う新たな関税を通知する」と述べた。
カナダ政府は、デジタルサービス税の施行日を6月30日に定めており、適用開始日は2022年1月1日に遡るとした。
27日の投稿でも、トランプ大統領は、カナダを「極めて取引が困難な国」と位置づけ、同国がアメリカの農家に対して最大400%の乳製品関税を課している事実を指摘した。
さらにトランプ大統領は、カナダの措置が欧州連合(EU)の模倣に過ぎないとし、EUも同様の政策を取るが、現在アメリカと協議中であると説明した。
デジタルサービス税とは、各国がオンラインサービスに課税する仕組みであり、物理的な製品に対する課税とは性質が異なる。この課税方式により、各国は大手テック企業が提供するオンラインサービスに対して収益の有無を問わず課税を実施できる。
アメリカ議会調査局(CRS)は昨年の報告書で、Meta、Apple、Google、Amazon、Microsoftなどのアメリカ大手IT企業が、各国のデジタルサービス税によって深刻な影響を受けると分析した。
トランプ大統領は、各国との貿易交渉において、デジタルサービス税を主要な論点と位置づけ、「非関税貿易障壁」という表現で繰り返し非難してきた。
アメリカ商務省の統計によれば、カナダはアメリカ製品の最大の輸入国であり、昨年の対カナダ輸出額は3,490億ドルに達した。一方、カナダの対米輸出額は4,130億ドルで、アメリカにとってカナダは第3位の外国製品供給国だ。
アメリカがカナダに対して高関税を課すことにより、カナダが報復措置として、アメリカ製品に追加関税を課す可能性も浮上した。
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