ウクライナはイスラエル式の「ピンポイント排除」と同じ戦術で、ロシア中枢や高官を標的とした攻撃を強化している。モスクワやクリミア、クルスクなどで爆発や高官暗殺が相次ぎ、無人機やAI技術を駆使した長距離精密攻撃も展開している
モスクワ中心部で爆発
7月2日、モスクワ中心部で激しい爆発が発生し、少なくとも2台の車両が炎上した。ロシア連邦保安局(FSB)第五局のコムコフ局長が斬首(暗殺)作戦のターゲットなり死亡した。彼は独立国家共同体(CIS)諸国における対スパイ活動を担当していた人物である。
ロシア政府はこの攻撃に強い危機感を抱いており、高官の殺害だけでなく、ウクライナの作戦がモスクワ中心部にまで及んだことを重く見ている。
黒海艦隊司令官を含む高官が次々に殺害される
同日、ウクライナ軍はクリミア半島で米国製のハイマースロケット砲を用いた攻撃を実行し、黒海艦隊司令官であるアフメトフ海軍中将を殺害した。黒海艦隊の秘密基地を正確に狙撃し、基地全体を火の海にした。施設は完全に焼失し、破壊された。
さらに、ロシア海軍副司令官グドコフ少将と副官シハリエフ中佐も同時に殺害された。グドコフ少将は太平洋艦隊第155独立親衛海軍歩兵旅団の元旅団長で、ウクライナ戦での功績により「ロシア連邦英雄」の称号を受けた人物である。
ウクライナ側では戦争犯罪者と位置づけられていた。ウクライナ軍は今回の作戦でもハイマースを活用し、ロシアのクルスク州にある軍基地を精密に爆撃した。この攻撃により、海軍副司令官を含む10~20人の高級軍幹部が一斉に殺害された。
軍事目標だけでなく補給線や政府施設も標的に
ウクライナ国防省情報総局長ブダノフ氏は、これらの作戦が長期計画に基づいており、ロシアの軍事・情報中枢を標的にしていると述べた。消滅対象は高官だけにとどまらず、弾薬庫、製油所、後方支援拠点にまで及ぶ。
ウクライナ軍はロシアのハルチジスクにある弾薬庫を爆撃し、空を赤く染める爆発を引き起こした。この攻撃により前線の一部では補給が途絶した。また、ロシア軍の別の弾薬貯蔵センターにも攻撃を加え、爆発後には核爆発のような閃光と巨大な衝撃波が発生した。
無人機による長距離精密攻撃も展開
7月2日、ウクライナ軍は無人機「リューティ」を用いて、ロシア・イジェフスク市の政府機関を攻撃し、数十人の職員に負傷を与えた。この無人機は飛行距離が1500キロを超え、高性能爆薬と精密ナビゲーションを備える。AI技術によってS-400やS-500などのロシア防空システムの追跡を回避できる構造となっている。
ウクライナの斬首作戦は、いわゆる鞍替えした者にも向けられている。ルハンスク市では、ロシアが任命した前市長が市街地で爆死した。現場に残された遺体は布で覆われており、見せしめとしての政治的メッセージが込められていることは明白である。
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