ウクライナ情勢 会談前、プーチン大統領と電話

トランプ・ゼレンスキー会談 和平案合意「極めて近づく」

2025/12/29 更新: 2025/12/29

トランプ米大統領は28日、フロリダ州パームビーチにある自身の邸宅マー・ア・ラゴにウクライナのゼレンスキー大統領を迎え、長年続くロシアとの戦争を終結させるための計画について協議した。

トランプ氏はゼレンスキー氏を迎える際、記者団に対し「ウクライナにとっても、すべての人にとっても有益な合意の素地ができつつあると信じている」と語った。

両首脳は、20項目の和平案に関する12月28日の会談が実りあるものであったことを確認したが、安全保障上の保証に関する交渉や、係争中であるウクライナ東部ドンバス地域の将来への対応など、さらなる課題が残っていると付け加えた。

会談後、トランプ氏は記者団に対し、安全保障に関して「1つか2つ、非常に厄介で困難な問題がある」と述べた。

ゼレンスキー氏は、ロシアが繰り返し放棄を迫っているドンバス地域の扱いについて、合意には至っていないと述べた。同地域は建前上はウクライナの統治下にあるが、実態はロシアが90%を制圧しており、ウクライナ側が維持しているのは10%のエリアに留まっている。

ゼレンスキー氏は「我々のチームは結果に非常に近づいている」と述べ、同地域の放棄を依然として望まない姿勢をにじませた。

ロシアの外交顧問ユーリ・ウシャコフ氏によると、ロシア側もまた、ウクライナに対してドンバスの割譲という「大胆な決断」を下すよう求めている。また同氏は、最終的な和平合意に至る前の(暫定的な)停戦については、ロシアと米国の双方が拒否するだろうとの見解を示した。

ゼレンスキー氏は12月28日のXへの投稿で次のように記した。「今は今年で最も外交が活発な時期の一つであり、新年までに多くのことが決まる可能性がある」

「我々はそのために全力を尽くしているが、決定が下されるかどうかはパートナー次第だ。ウクライナを支援する人々、そしてロシアに圧力をかけ、ロシア人が自らの侵略の結果を実感するように仕向ける人々の双方が鍵となる」

12月28日の会談前にプーチン大統領と電話会談を行ったトランプ氏は、和平の期限を元日に設定してはいないが、早期の合意成立に期待を寄せていると述べた。

トランプ氏は12月28日のトゥルース・ソーシャルの投稿で、「本日午後1時のウクライナのゼレンスキー大統領との会談に先立ち、ロシアのプーチン大統領と良好かつ非常に建設的な電話会談を行った」と報告した。

12月28日の会談は、カナダのマーク・カーニー首相がノバスコシア州ハリファックスでゼレンスキー氏と会談し、戦禍にある同国へ25億ドルの追加支援を行う計画を発表した翌日に行われた。

ゼレンスキー氏は先週、記者団に対し、領土問題の協議に加え、紛争終結のための政治的枠組みの策定や経済協定についても話し合う予定だと語っていた。

トランプ氏は2022年2月に始まったウクライナ戦争の終結を公約に掲げて選挙戦を戦い、ここ数週間で政権の取り組みは進展を見せている。

当初の28項目から20項目に集約された米国の和平案は、ウクライナへの安全保障上の保証、欧州連合(EU)への加盟、そして経済復興のための国際的な開発パッケージと資金援助に重点を置いている。

和平案における重要な領土問題については、ウクライナ東部のドネツク州がどのような扱いになるかなど、現在も交渉が続いている。

トランプ氏の娘婿で顧問のジャレッド・クシュナー氏と、特使のスティーブ・ウィトコフ氏は、クリスマス当日にゼレンスキー氏と1時間にわたり協議した。

ゼレンスキー氏は会談後、テレグラムに「非常に有意義な対話だった。詳細な点や優れたアイデアについて議論できた」と投稿した。また、「真の平和をたぐり寄せるための新たな案がいくつか出ている。それは交渉の進め方や会談の枠組み、そして何より解決に向けた期限(スケジュール)に関するものだ」と述べた。

ウィトコフ氏は、米国とロシアが和平案を推進するために「生産的で建設的な会合」を行ってきたと述べた。

ウィトコフ氏は、ロシアのキリル・ドミトリエフ特使との会談後、「ロシアはウクライナの平和実現に全力を尽くし続けている」と先週記した。「ロシアは、ウクライナ紛争を解決し世界の安全保障を再構築しようとする米国の努力と支援を高く評価している」

和平交渉の一方で、ゼレンスキー氏はロシアが過去1週間で2,100機以上の攻撃型ドローン、800発の誘導航空爆弾、94発のミサイルをウクライナに発射したと述べた。

最近の攻撃について、トランプ氏はプーチン氏が戦争終結を「真剣に考えている」と改めて強調した。 ウクライナによる反撃についても触れ、「ウクライナも相当に強力な攻撃を仕掛けているはずだ。今は戦時下であり、双方が戦っている以上、結末がどうなるか注視するしかない」と述べ、特定の攻撃を非難するよりも、交渉による決着を待つ姿勢を見せた。

また、トランプ氏は交渉が「最終段階」にあると述べ、今回交渉が決裂すれば、紛争は「長期間」続く可能性があると警告した。

12月中旬、米国の交渉担当者であるウィトコフ氏とクシュナー氏は欧州で数日間を過ごし、ゼレンスキー氏やその代表団、そして複数の欧州首脳と会談した。

米当局者が記者団に語ったところによると、これらの会合の結果、北大西洋条約機構(NATO)の第5条(集団防衛)に匹敵する、ウクライナに対する「強固な」安全保障上の保証が策定されたという。

ある米当局者は記者との電話会談で、「提示されている内容は、提供可能なものの中で最高水準(プラチナ・スタンダード)である」と述べた。「これは上院の承認を必要とするが、トランプ大統領はその用意がある」

11月20日に明らかになった和平案の草案では、クリミア、ルガンスク、ドネツクを「米国を含め、事実上のロシア領として認める」ことが提案されており、これによりウクライナ側が憲法に違反することなく条件を受け入れる余地を残している。ヘルソンとザポリージャについては現在の戦線で凍結され、事実上ロシアによる支配を認める形となる。

また、この計画では、ウクライナが憲法を改正してNATO非加盟を約束すること、およびNATO側がウクライナの将来的な加盟を禁じる規約を採択することを求めている。

ウクライナ側は最近、依然として一部支配しているドネツク地域から軍を撤退させる案を提示した。この案には、ロシアが同等の面積の地域から撤退することを条件に、自由経済非武装地帯を設置することが含まれている。ロシアは現在のところ、この提案を拒否している。

米国ナッシュビル在住のエミー賞受賞ジャーナリスト。以前はニューヨーク・ポストやフォックス・ニュース・チャンネルで働き、ニューヨーク市ではオフ・ブロードウェイ・ミュージカルのシリーズも執筆した。
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