米国のパム・ボンディ司法長官は12日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを破棄し、偽のワクチン接種証明書を発行したとして起訴されていたユタ州の医師マイケル・カーク・ムーア氏に対する訴追を取り下げるよう、司法省に命じたと発表した。AFPなど複数のメディアが報じた。
ムーア医師は2023年、政府から提供された約2万8千ドル相当のCOVID-19ワクチンを廃棄し、1900枚以上の偽のワクチン接種証明書を発行した疑いで連邦大陪審により起訴されていた。また、保護者の要請により、子供にワクチンの代わりに生理食塩水を注射したとされる。証明書は1枚50ドルで販売したとされ、現金または特定の慈善団体への寄付と引き換えに提供したという。
ムーア医師が新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンを破棄し、偽のワクチン接種証明書を発行した事件は、アメリカ社会に大きな反響をもたらした。
ムーア医師の訴追取り下げを求める声は、主に共和党の保守派政治家やワクチン懐疑派から強く上がった。マージョリー・テイラー・グリーンやマイク・リー下院議員は、SNSや声明でムーア医師を「患者に選択肢を与えた英雄」として擁護し、長期の懲役刑は不当であると主張した。また、トランプ政権下で保健福祉長官に就任したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏も「勇気ある行動」と評価し、ムーア氏を称賛していた。
ムーア医師は一貫して無罪を主張しており、裁判は今週ユタ州ソルトレイクシティで始まったばかりであった。訴追取り下げの決定は、連邦検察側が「公益のため」として提出した申し立てを受けて行われた。
ボンディ司法長官はSNSで、「ムーア医師は連邦政府が選択肢を与えなかったときに、患者に選択肢を与えた。彼が直面していた長期の懲役刑は不当であり、本日で終わりを迎える」と述べた。この決定には、共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員やマイク・リー上院議員などが支持を表明している。
アメリカ司法省や現地検察は、今回の訴追取り下げについて「コメントは差し控える」としている。また、ムーア医師とともに起訴されていた他の被告人についても同様に訴追が取り下げられるかどうかは、現時点で明らかになっていない。
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