7月13日未明、中国山東省淄博市(しはく-し)の湖付近で、目隠しをした男女約50人がロープを手に列をなして歩く異様な光景が目撃され、SNSで拡散された。参加者は旗を掲げ、録音されたスピーチを流しながら暗闇の中を行進しており、地元住民は「不気味だ」として警察に通報した。
現地警察によると、これは地元企業が主催した「信頼と協力を高める」ことを目的とした健康ウォーキングイベントで、社員とその家族計52人が参加していた。
(その時の様子)
こうした異様な集団行動は中国各地で後を絶たない。遼寧省大連市の企業では、新入社員に火のついた棒を口に入れる「火の飲み込み」が強要された事例もある。企業側は「自信をつけさせるため」「恐怖心を克服させるため」などと説明しているが、実態は従業員の人格を無視した服従のための「調教」にほかならない。
「火の飲み込み」に限らず、近年の中国では、企業がチーム・ビルディング研修(ゲームやスポーツなどを通じて協力と団結を育むことを目的とした研修)と称しながら、従業員に人権を無視した“調教まがい”の行為を強要する事例が後を絶たない。こうした過激な研修は、たびたびニュースで取り上げられ、社会の批判を浴びている。
こうした「チーム・ビルディング」の名を借りた服従の強要には、上層部が権力を誇示し、従業員の忠誠心を試すために、地べたを這わせる、ひざまずかせて互いにビンタをさせる、さらにはゴミ箱にキスさせるといった例も実際に確認されている。いずれも従業員の尊厳を踏みにじる行為にほかならず、企業の倫理が厳しく問われている。

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