激変する中国 刃物より恐ろしい「邪気」 

ゲームがきっかけで同級生を刺殺 中国社会に充満する「邪気」

2025/09/08 更新: 2025/09/08

8月31日、中国・山東省煙台市の職業学校で男子学生が同級生を刃物で刺殺する事件が発生した。死者は胸部を刺され失血死したが、事件が公表されたのは7日後だった。中国共産党(中共)当局が軍事パレード期間中に「好ましくないニュース」を封じ込めていたためである。

きっかけはゲームをめぐる口論が凶行に変わったとされ、その背後には劣悪な寮生活や閉塞した環境への不満が積み重なり、鬱積した感情が爆発したと指摘されている。

こうした短絡的な暴力は今や中国社会に遍在している。湖南では2万円余りの修理代をめぐる殺人、浙江では騒音トラブルでの刃物事件、広東では車の追突から激しい殴打事件が発生した。山東では麻雀の賭け金20元(約400円)をめぐる殺人、四川では火鍋店で「夫が隣席の女性を見た」というだけで妻がスープを浴びせた事件、黒竜江では失業者がガス管を壊しマンションを吹き飛ばした爆発事件も起きている。

 

2024年5月20日、中国の湖南省と江西省で同じ日に無差別切り付け事件が2件発生し、いずれも社会報復とされ、少なくとも5人が死亡、12人が負傷した。画像は同日、江西省貴渓市の小学校で起きた事件の現場。(スクリーンショット)

 

さらに子どもを巻き込む事件も後を絶たない。各地の小学校前では自動車を使った無差別暴走や刃物による殺傷事件が繰り返され、校内でも刃傷沙汰や同級生殺害が相次いでいる。大人も子どもも些細なことで自制心を失い、突発的に暴力へと走る――それが今の中国社会の現実である。

 



中学生殺人事件続報 被害者宅のネットが遮断され、弁護士も弾圧される=中国 河北

河北省邯鄲市で起きた中学生殺害事件に関連して、被害者側の弁護士が地元政府による弾圧を受けていることがわかった。

 

当局はこうした事件を「個人的なトラブル」だとして常に矮小化してきた。しかし人々はすでに気づいている。社会全体を覆う目に見えない空気――「戾気(リーチー)=邪気」こそが、短絡的な暴発の正体だと。

戾気(リーチー)とは伝統医学における邪気に相当し、心に潜む荒々しさや残虐さ、極端に走る衝動を指す。だが現代中国における戾気は単なる心理現象ではなく、まるで「目に見えぬ毒ガス」のように社会全体を覆い、人々を蝕んでいる。

 



バイクに追突後、運転手に容赦ない暴行 邪気が充満する中国

2024年5月2日夜9時前、広東省汕頭市の交差点で暴力事件が発生した。

 

この邪気を生み出してきた根源は中共体制そのものである。その根底には「假恶斗(偽り・悪・闘争)」の党文化が横たわっている。真実を覆い隠し、道徳を破壊し、憎しみと闘争を煽るこの文化の下で、社会は長年にわたり歪められてきた。無神論や金銭至上・利益至上の観念が蔓延し、道徳的な基準は全面的に崩壊した。人々は是非や善悪の最も基本的な判断力を失い、とりわけ若い世代は「人としての根本」を見失っている。欲望や利益のために人間としての尊厳さえ犠牲にする姿は、まさに体制がつくり出した犠牲者の姿にほかならない。

 

Netflixドラマ「三体」の文化大革命のシーン|提供=Netflix
文化大革命(1966~76年)は毛沢東が主導し、伝統文化や知識人を徹底的に破壊した大規模な政治運動で、無数の人々が公開批判や迫害を受けた。

 

その結果、人々の心は日に日に荒廃し、幸福の基準さえ歪められてしまった。追い求めるのは本来の意味での幸福ではなく、「他人と比べて優位に立つ幸福」である。他人より恵まれていなければ不幸だと感じ、隣人の喜びを許せず、わずかな差にさえ苛立ちを募らせる。こうした歪んだ幸福観が、鬱積した怒りと結びついたとき、些細な口論や偶然の衝突が凶行に変わるのである。

邪気を撒き散らしてきたのは体制そのものである。積み上げられた不信と怨嗟がどこへ向かうのか――それは体制がもっとも恐れている答えかもしれない。だが、邪気が晴れる道は必ずある。人々が進むべき道は、やがて自ずと見えてくる。伝統に立ち返り、失われた道徳を取り戻し、神を敬う心を取り戻すとき、人心は正気を回復する。邪気に覆われた大地にも、必ず光が差すだろう。

 



邪気に呑まれる中国社会 わずか2万円余りでも殺人に?【動画あり】

2万円の修理代、400円の麻雀代…こんな小さな金で人が殺される中国。人々は「戾气(邪気)が社会を覆っている」と嘆く。だがその根源は共産党だ。覚醒の時、邪気は中共に返る。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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