台湾で異例のリコール投票へ 親中国民党議員の24人が対象

2025/07/23 更新: 2025/07/23

台湾では7月26日に、立法院(国会)に所属する国民党の立法委員24人の去就を問うリコール(罷免)投票を実施する。「中国共産党寄り(親中共)」と批判されてきた議員らが対象で、有権者の審判が下される。

一方で、中国共産党(中共)の官製メディアは、国民党支持を打ち出す報道を次々と発信し、頼清徳総統が「緑色独裁(民進党による一党支配)」を進めていると非難している。ただ、国民党側は中共の過剰な関与が「むしろ逆効果だ」と警戒し、「これは台湾内部の問題だ」と距離を置く姿勢を示す。

ロイター通信によると、頼氏が昨年当選したものの、与党・民進党は立法院で多数派を失い途方に暮れた。その後、野党の国民党が議席優位を背景に、頼政権の反対する法案を相次いで可決し、台湾の防衛力強化を目的とした国防関連予算の削減なども進めてきた。

こうしたなか、中共が台湾への軍事・外交圧力を強め、領有権を主張する環境下で、台湾の市民団体が今年初めにリコール運動を開始。「親中共」とみなす国民党議員の罷免を目指し、全立法委員の約5分の1にあたる24人を対象に是非を問うこととなった。

リコール推進派は今回の運動を「反共産党」キャンペーンと位置づけ、国民党が台湾を中共に売り渡していると主張。根拠として、北京訪問を繰り返す国民党議員の行動、防衛予算削減、立法院運営の混乱などを挙げる。

国民党は「親中共」批判を否定。中共側が頼総統を「台湾独立」とみなし対話を拒んでいるため、台湾の利益(農産品輸出拡大など)を守るには大陸側との対話窓口を維持することが重要で、これは「親中共」姿勢とは異なると説明している。頼政権については「独裁」や「緑色恐怖を招いている」と反発している。

中共 宣伝攻勢を強化 国民党は「台湾の民主プロセスだ」と距離

台湾資訊環境研究中心(IORG)の分析では、2025年上半期に中共官製メディアおよび関連SNSアカウントが発信した、今回のリコール運動を「独裁」や「緑色恐怖」と位置づける記事・動画は約425本に上った。論調は国民党の主張と歩調を合わせる内容が目立つという。

しかし国民党は、中共の「応援」を歓迎していない。党報道官の楊智伃氏はロイターに対し次のように述べた。
「私たちは台湾の人々と同じ考えだ。これは台湾自身の問題であり、民進党と国民党が民意と支持を競う民主的な過程である。中国とは関係ない」

 

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