韓国右派が「少女像」の撤去を要求 慰安婦問題の経緯

2025/07/24 更新: 2025/07/24

旧日本軍の従軍慰安婦問題を象徴するソウル中心部の「平和の少女像」前で、23日、韓国の右派団体が像の撤去などを求める集会を行った。保守系の参加者らは日本の国旗を掲げ、君が代を流すなどして主張を展開。現場は一時騒然となったが、大きな混乱はなかった模様。共同通信などが報じた。

この集会は、像の前で長年座り込みを続けてきた左派団体が、代表の警察捜査への対応などを理由に19日に撤収したことを受けて行われた。右派団体の参加者は、慰安婦問題を「詐欺だ」とする主張も展開した。

従軍慰安婦とは、日中戦争や太平洋戦争中に日本軍が設置した「慰安所」と呼ばれる施設で、兵士の性の相手をさせられた女性たちを指す言葉である。戦時中、日本の本土や朝鮮半島、台湾、中国、フィリピンなどから女性たちを動員したとされる。

一部の保守層は、慰安婦制度が当時の公娼制度を参考に運営され、民間業者によって新聞広告で募集している、報酬も支払われていたことや、日本人女性も含まれていた点を強調し、国家責任は問えないと主張している。

慰安婦問題をめぐる報道では、朝日新聞による一部記事が「捏造」との批判を受ける事態も起きた。1991年に元慰安婦の証言を初めて報じた同紙は、後に強制連行の記述や「女子挺身隊」との混同など複数の誤りが判明し、2014年8月に該当記事を取り消した。

同紙は、報道当時の研究の不十分さが誤報の原因であったと説明したが、誤報や「捏造」との批判は続き、元記者が名誉を毀損されたとしてジャーナリストや評論家を訴える裁判にも発展した。最終的に最高裁は名誉毀損を認めず、原告敗訴が確定している。裁判では「記事の意図的な虚偽」といった主張は直接認められなかったが、慰安婦報道に関する議論はさらに広がった。

2015年12月28日の日韓外相会談では、日本政府が「当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、責任を痛感している」と表明し、総理大臣名で「おわびと反省の気持ち」を示した。

従軍慰安婦問題は戦後長らく日韓間の外交課題であり、同会談では「最終的かつ不可逆的な解決」とする合意がなされた。日本政府は元慰安婦支援のため10億円を拠出し、公式に謝罪と反省を表明。韓国政府はこうした措置を評価し、両国は国際社会において互いに非難しないことを確認した。

しかしその後、韓国国内での反発を背景に、2018年には文在寅政権が合意に基づいて設立された元慰安婦支援財団の解散を決定。これにより、韓国政府は合意の履行を事実上停止し、合意は形骸化する結果となった。日本側は合意の再交渉には応じないとの立場を維持している。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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