中国共産党(中共)の支配は永遠に続くものではなく、アメリカは中国が共産主義から解放される日のために準備を始めるべきであると、最近行われたハドソン研究所のイベントで専門家が述べた。
その議論を交わすことは不可欠であり、中国で突如として政権崩壊が起これば、それは「非常に手強い」事態となる可能性が高い、と、前国務長官マイク・ポンペオ氏の元顧問であり、ハドソン研究所チャイナセンターの所長であるマイルズ・ユー氏は語った。
数十年にわたる中共の抑圧的支配が「傷跡と制度的欠陥を生み出しており、これらは世界全体にとっても非常に危険となりうる」とユー氏は「体制崩壊後――共産主義後の中国を計画する」と題したイベントで述べた。
ユー氏はまた、過去のナチス政権崩壊時など国際社会が苦慮した課題のように、中国の場合も極めて複雑かつ困難な対応が求められるとの見方を示した。
いずれのケースでも、アメリカはその国をいかに安定させ、「それらの社会を国際社会の普通の構成員に移行させるか」という課題に取り組んできたと指摘した。
「今回の(中国の)場合は、過去よりもさらに大きな規模で非常に複雑な課題になる」とも述べ、こうした状況を国際社会全体が対応策を練る「政治的なシミュレーション(戦略ゲーム)」のようなものだと例えた。
パラノイアに陥る体制
中共の崩壊という可能性はそれほど遠いものではない、と専門家らは述べた。
中国は今、悪化する経済危機、敵対的な国際環境、人権侵害への不満、政治闘争などに直面している。
中国共産党党首の習近平は今年初め、14日間公の場から姿を消し、何の説明もなく初めてBRICSサミットを欠席した。習派の側近が何人も失脚しており、これは習近平が権力を失いつつある兆候とも言える。
「全体主義体制はいつでも崩壊しうる」とユー氏は指摘している。そして中共はその可能性を常に意識している。
「毎日、パラノイアの中で生きている」と彼は語った。
ゲートストーン研究所上級研究員であり「中国崩壊がやって来る」の著者であるゴードン・チャン氏もユー氏の発言に同調し、「共産党当局は北京で非常に非常に不安を抱えている」と述べた。
「現在、共産党は混乱の中にある。もし権力闘争がさらに激化すれば、何が起こるか分からない」とチャン氏はエポックタイムズに語った。

体制交代は上からでも下からでも起こりうると彼は言い、「それが起こる方法は百万通りある」と述べた。
チャン氏は2022年後半に中国で数か月続いた抗議活動を指摘した。これは多くの人が食料や重要な医薬品を手に入れられなくなったことをきっかけとした、厳しい「ゼロコロナ」政策への不満から始まったものだ。中には中共の退陣を要求する声もあった。
「中国人民は幸福ではない」と彼は言う。
「体制は中国を一つに保つために多大な努力を払っている。それは、この国が不安定であることの証左だ」
東ドイツやソ連と同様に、中共の崩壊もスローモーションで起こることはないだろうとチャン氏は語る。
「それが起きるとき、おそらく我々は驚かされるだろう。突然、バンッと一気に起きる。それがこうした事態の進行の仕方だ」と述べた。
金融セキュリティ
中共崩壊時には、アメリカは中国国内の資産、特に中国系銀行から迅速に押収を始めるべきだとチャン氏は主張している。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによる2024年4月の報告書によると、世界で最も資産規模が大きい銀行4行はすべて中国の国有銀行である。中国工商銀行の資産はほぼ6.7兆ドルで、アメリカ最大のJPモルガン・チェースでも4兆ドル強にすぎない。
中国の外貨準備高は2024年5月時点で3.28兆ドルと世界最大である(中国公式データ)。
崩壊後の混乱では、権力を争う勢力が中国の銀行から資金を引き出し自らの野心の資金源としたり、外貨準備を利用して世界的なボラティリティ――金融の混乱――を引き起こす可能性もあるとチャン氏は言う。

「時間が勝負だ」とチャン氏は述べる。アメリカ連邦規制当局は「世界の金融セキュリティの最終保証人」として資産を確保すべきであり、他国もアメリカに追随することが期待できるとのことだ。
同様に、アメリカ財務省も中国の外貨準備の没収を進め、ロンドンなど中国のタックスヘイブンとして知られる地域の当局とも連携して妨害行為を警戒すべきだと指摘する。
また、アメリカの食料安全保障を守るために、2013年に中国の食肉加工会社WHグループが約47億ドルで買収した米バージニア本拠のスミスフィールド・フーズ(アメリカ最大の豚肉生産会社)の所有権もアメリカが押収すべきだと提案している。
ガバナンス
移行期に注力すべき他の事項として、中共軍の再編・縮小、人権侵害の責任追及などがある。
ハドソン研究所、宗教の自由センター所長で上級研究員のニーナ・シェイ氏は、アメリカが中共に即時圧力をかけ、拘束中の宗教・政治犯――9人のカトリック司教・新疆の強制労働収容所の被収容者・香港の民主活動家など――の解放を促す行動をとることを望むと語った。
臓器収奪を阻止するため、中国国内の病院や移植センターは、提供臓器が自発的ドナーによるものであることを証明できるまで移植手術を停止すべきであり、閉鎖された礼拝所も再開させるべきだとシェイ氏は主張した。

さらに、中国各地の異なる民族集団がどのような将来の政府を展望しているかという問題もある。
シェイ氏は、香港と中共下の5つの自治区のうち少なくとも内モンゴル、寧夏、新疆の3地域が独立を志向すると予想しているという。内モンゴルと寧夏における強制的な文化同化政策、新疆でのジェノサイド的行為が、これらの地域で中央新政府への根強い不信を生んでいると述べた。
とくに香港は、自治権獲得の機会を最初に捉える可能性が高い。近年の民主経験、高い人間開発度、そして中共に自由を奪われるまでは活気ある経済を持っていたことから、最も成功の可能性が高い都市であるとシェイ氏は語っている。
独立を求める各地域については、アメリカは住民の意思、地域状況、アメリカの国益を反映したガイドラインに基づきその可否を慎重に判断すべきだとシェイ氏は加えた。
パネリストたちは中国が「中国連邦合衆国」となり、各地域が自治を保持する可能性についても議論した。ただしその場合の課題は、アメリカのような民主主義や自由といった共通理念が中国には存在しないことであるとシェイ氏は指摘した。
シェイ氏とユー氏は共に、中共後の中国の未来はやはり人々が形作っていくものだとした。
「もし彼らが連邦国家の一部でいたいならそれでよいし、そうでなければ独立すればよい」とユー氏はエポックタイムズに語った。
「繰り返すが、最終的な判断は人々自身に委ねるべきである」
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