香港の国家安全警察は7月25日、厳格な国家安全維持法の下で活動家19人に対して国家政権転覆の罪で逮捕状を発行し、逮捕につながる情報提供者に賞金を提示した。
香港警察の国家安全部門は声明で、これらの人物が「香港議会(Hong Kong Parliament)」と呼ばれる団体の組織、設立、または参加に関与した疑いがあると発表した。
警察は、この団体が、香港の人々が自らの政治的な将来や統治のあり方を、自分たちで選択・決定できるようにしようという「自己決定の推進」や「香港憲法の起草」を目標として掲げ、国家政権転覆を図り、「違法な手段で中国の憲政秩序を転覆または損なおうとした」と主張している。
人権団体「Hong Kong Watch」はX(旧Twitter)でこれらの逮捕状を非難し、このような国家を越えた弾圧は容認されるべきではないと述べた。
香港警察は、これらの人物が香港国家安全維持法第22条に違反したと主張している。この法律は、2019年の民主化運動と騒乱の後、2020年に北京によって施行されたものである。この法律によって、中国共産党政権が1997年の香港返還時にイギリスと交わした約束のもとでの自由が著しく侵害された。
一方で、批判的な立場の人々は、この法律が異議の封じ込めや自由の抑圧に利用されていると懸念を示している。アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、この法律が中国政権によって説明責任も透明性もなく強行されたと批判している。
「この法律は発表からわずか数週間で成立し、香港の地元議会を迂回して制定され、その内容は施行まで市民や香港政府にさえ非公開とされた」とアムネスティ・インターナショナルはウェブサイトに記している。「アムネスティは、香港当局が国家安全維持法の運用にあたって人権義務を厳守すること、国際社会がそれを監督し責任を問うことを求めている」
香港警察は金曜日、9人を「香港議会」設立のために海外で選挙を組織したとし、他の10人については候補者として選挙に出馬し、当選後は議会メンバーとして宣誓したと発表した。
これらの逮捕状は、警察の要請に基づき香港の裁判所から発行されたものである。
警察に名前を挙げられた人物には、実業家のエルマー・ユエン氏(Elmer Yuen)、評論家のビクター・ホー氏(Victor Ho)、活動家のジョニー・フォック氏(Johnny Fok)やトニー・チョイ氏(Tony Choi)などが含まれる。彼らにはすでに1人あたり100万香港ドル(約12万7,000米ドル)の懸賞金付き逮捕状が発行済みである。
残る15人については、警察が20万香港ドル(約2万5,480米ドル)の懸賞金を掛け、所在情報の提供を市民に呼びかけている。
警察が名前を挙げた人物にコメントを求めたが、連絡は取れなかった。
香港議会は6月30日、Facebook上の声明で、自身が主宰した選挙においてモバイルアプリやオンライン投票を通じて1万5,700票以上の有効投票を集めたと発表した。
候補者や当選者は、オーストラリア、カナダ、台湾、タイ、イギリス、アメリカなどさまざまな地域から出ているという。
同団体は「香港議会」と名乗ってはいるものの、選挙管理委員会はカナダで設立されており、影響力も限定的である。
今回発行された逮捕状により、国家安全維持法違反容疑で指名手配された人物の総数は34人となったと、Hong Kong Free Pressは報じている。
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