フランス大統領マクロン夫妻 ファーストレディが男性であると主張したキャンディス・オーウェンズ女史を提訴

2025/07/26 更新: 2025/07/26

保守系コメンテーター兼ポッドキャスターのキャンディス・オーウェンズ女史は、フランスのファーストレディが男性であるという主張をめぐり、2025年7月23日、フランス大統領エマニュエル・マクロン氏とその妻ブリジット・マクロン女史によって名誉毀損で提訴された。

夫妻は、オーウェンズ女史本人、キャンディス・オーウェンズLLCおよびウェブサイト運営会社のジョージトム社を相手に、米デラウェア州高等裁判所に22項目からなる訴状を提出し、具体的な額を示さず損害賠償を求めている。

訴状によれば、2024年3月にオーウェンズ女史は「ブリジット・マクロンが実際には男性であるという事実に、自分のすべての職業的信用を賭ける」と公言したという。

「それ以降、オーウェンズはこの虚偽の発言を活用して自分の独立したプラットフォームを宣伝し、知名度を上げ、金銭を得てきた」と訴状は述べている。

「オーウェンズは、自身の主張を否定する信頼できる証拠をすべて無視し、既知の陰謀論者や有名な誹謗中傷者に発言の場を与えた。さらに、マクロン大統領夫妻が事実を正そうとしたことについても、オーウェンズは彼らを嘲笑い、自身の熱狂的なファン層向けの格好の話題に利用した」

この訴訟は、オーウェンズ女史が主導しYouTubeで200万回以上再生された8部構成のポッドキャストシリーズ「Becoming Brigitte(ブリジットになるまで)」や、それに関連するX(旧Twitter)上の投稿に焦点を当てている。

マクロン家によれば、このシリーズは「荒唐無稽で名誉毀損的かつ現実離れしたフィクション」に基づいたものであり、ファーストレディが「男性として生まれ、他人の身元を盗み、ブリジットになるべく性転換した」と主張しているとしている。

訴状によれば、本シリーズではさらに、マクロン夫妻が「血縁関係にある近親相姦者」であり、大統領は「CIA主導のMKウルトラ計画や同様のマインドコントロール計画の一環としてフランスの指導者に選ばれた」、また夫妻は「それらの秘密を隠すため、文書偽造、詐欺および権力乱用に及んでいる」といった主張も含まれている。

「これらの主張は証明可能なまでに虚偽であり、オーウェンズもそれを承知で発信していた」と訴状は記している。「それにもかかわらず、彼女は公表した。その理由は明白であり、真実の追究ではなく、名声の追求である」

オーウェンズ女史は、7月23日の自身のポッドキャスト内で訴訟を認めつつ、「事実誤認に満ちている」と述べ、まだ全文を読めていないと説明した。  
ブリジット・マクロン女史は、エマニュエル・マクロン氏が若きティーンエイジャーだったころ、彼が通う高校で教師をしていた39歳の既婚女性・三児の母であり、両者は2007年に結婚している。

訴状によれば、ブリジット・マクロン女史の性別についての憶測は2021年にソーシャルメディア上で現れ始め、その後ジョー・ローガン氏やタッカー・カールソン氏などの有力コメンテーターによっても言及されてきた。

具体的には、ブリジット・マクロン女史が実はジャン=ミシェル・トロニュ―という男性として生まれており、それは彼女の兄の名前である、という主張も訴状に盛り込まれている。  

「オーウェンズはこうした『虚偽』を自身のシリーズで拡散し続けている」と訴えている。

「これらの嘘は、マクロン夫妻に甚大な被害をもたらした」と訴状は主張している。「被告らは、夫妻に対して世界規模での恥辱キャンペーンを展開し、彼らの人生を金銭目的の虚偽のネタに変えた。オーウェンズは夫妻の容姿、結婚、友人、家族、個人史を解剖し、すべてを歪めて醜悪な物語に仕立て上げ、煽動と侮辱を狙ってきた。結果として、全世界規模で執拗なバッシングが続いている」

マクロン夫妻は、この「執拗かつ根拠のない名誉毀損キャンペーン」に直面し、「記録を正し、さらなる被害を防ぎ、被告らをその行為に責任を持たせるため、救済を求めざるを得なくなった」としている。

訴訟への反応として、オーウェンズ女史は自身のポッドキャストで「フランスのファーストレディ・マンに訴えられている」と語り、この訴訟を「あからさまで切羽詰まった広報戦略」と表現した。

また、弁護士同士のやり取りは1月から続いていたが、マクロン夫妻側は訴状提出についてオーウェンズ側に事前通告しなかったと述べた。

オーウェンズ女史の代理人は、マクロン夫人がオーウェンズ女史との度重なるインタビュー要請を断った結果であり、この訴訟はオーウェンズ女史に圧力を掛けるためのものだと声明を出した。

「これは外国政府がアメリカ人独立系ジャーナリストの第一修正権(言論の自由)を攻撃する試みである」と代理人は語った。

なお、ブリジット・マクロン女史が自身が男性として生まれたとする主張をめぐり名誉毀損訴訟を起こしたのは今回が初めてではない。

2021年には、アマンディーヌ・ロワとナターシャ・レイという2名の女性を訴え、彼女たちがSNS上でそのような主張を拡散したとした。

2024年9月、第一審裁判所は2人に名誉毀損の有罪判決を下し、ブリジット・マクロン女史とその兄への損害賠償金の支払いを命じた。しかし、パリ控訴院は7月に、二人の言動は名誉毀損に該当せず善意によるものであり、表現の自由を認めると判断し、有罪判決を覆した。

ブリジット・マクロン女史は現在、その判断をフランス最高裁に不服申立てしている最中である。

アメリカ合衆国にあるフランス大使館に、コメントを求めたが回答は得られなかった。

エポック タイムズのニュースライター。主に米国、世界、およびビジネス・ニュース担当。
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