米経済学者 関税引き上げは 米国のインフレ引き起こさず

2025/07/30 更新: 2025/07/30

米国のトランプ政権による相互関税の引き上げの最終期限が、まもなく到来しようとしている。関税が米国国内経済にどのような影響を与えるのか、関税がインフレを招くのではないかと心配する声もあるが、この見方は本当に正しいのだろうか?

新唐人テレビの馬東記者が、米国経済研究所の「American Institute for Economic Research (AIER)」常務取締役である経済学者リディア・ニューマン氏にインタビューを行った。

新唐人記者
「こんにちは、リディアさん。この見方について、意見を聞かせてほしい。 また『関税が消費者コストを押し上げる』という説とは矛盾しているか?」

米国経済研究所 貨幣経済部 常務取締役リディア・ニューマン氏

「この見方は興味深い。データが意図的に選ばれているように見えるが、それも事実の一部だ。関税は、最終的には通常、インフレを引き起こさない。そのため、必ずしも物価全体が上昇するわけではない。これもインフレの定義の一つだ。私たちが予想しているのは、課税対象となった商品が一時的に価格上昇することだ。実際、今年の初めに発表された関税は広範囲に及んだが、多くの関税はまだ全面的に実施されていない。現時点で実施されているのは、およそ10%の基準税率にすぎない。私たちが把握している限りでは、米国の輸入業者がその費用を負担しており、消費者に転嫁しないよう努力している。そのため、データ上で関税の影響が明確に表れていないのも不思議ではない。今後注目すべき点としては、8月1日が近づくにつれて、より広範囲の関税措置が実施されるということだ。これらは、もともと7月9日に発効予定だった関税が正式に施行されるものだ」

新唐人記者
「この点から見ると、現在の状況は、生産者が市場シェアを守るために価格競争を激化させ、一部の輸入業者もコストを自ら吸収しているということなのだろうか?」

リディア・ニューマン氏
「その通りだ。多くの企業は、価格上昇や消費者の反応への対応経験をすでに持っている。企業は2022年に大規模なインフレを経験しており、価格上昇の限界がどこにあるかをよく理解している。多くの企業は、消費者の耐性がほぼ限界に達していると考えており、そのため輸入業者やその他の最終販売者は、どのサプライチェーン段階であっても、コスト削減や関税コストの吸収方法を模索している。企業はまた、関税の実際の影響について注視しており、現時点ではすべてが実施されているわけではない」

新唐人記者
「全体的に見て、関税は消費者価格を押し上げる可能性が高いのだろうか?それとも影響は小さいのだろうか?」

リディア・ニューマン氏
「これは関税率に依存する。関税が価格を押し上げることはあるが、通常は一時的な調整で終わる。たとえば、トランプ政権の初期に導入された鋼鉄関税の際には、鋼鉄やアルミを使用する製品、特に洗濯機や自動車の価格が上昇した。そのため、通常は関税によって一時的に価格が上昇し、新しい価格水準で安定する。これは必ずしもインフレとは言えない。インフレとは、価格の持続的な上昇を意味する。現在見られるのは、関税によって一部の特定商品や経済分野の価格が上昇する可能性があるということだ。どの国・どの商品に高い関税を課すかによって結果が異なるため、一部の価格の上昇は予想される。実際にいくつかの兆候も見られる。消費者物価指数や個人消費支出のデータからも価格の変化が読み取れ、アマゾンの価格表示を通じて原産国による価格差も確認できる」

新唐人記者
「最後に、今後数か月、あるいは数年の経済全体の動向について、どのように考えるか?」

リディア・ニューマン氏
「私は全体的に非常に楽観的に見ている。米国経済は非常に強靭で、変化に対する適応力も高いからだ。今年4月の株式市場のように、初期には多少の変動があるかもしれない。しかし、最終的には新たな常態を見出し、変化し続けるデータや規制環境に適応していくと考えている」

新唐人記者
「リディアさん、本日はどうもありがとう」

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