米国 レアアース調達案を聴取 対中戦略でミャンマー産を検討

2025/08/07 更新: 2025/08/07

レアアースの供給は、米中戦略競争における重要な問題の一つだ。ドイツのメディアが、中国のレアアースの多くがミャンマーから供給されていることを明らかにした後、最近、複数の関係者が、トランプ政権がミャンマーの豊富なレアアース鉱物の供給を中共から米国へ移行する方法について、さまざまな意見を聴取したことを明かした。

ロイター通信は7月29日、4人の関係者から得た情報として、トランプ政権がミャンマーの豊富なレアアース鉱物の供給を中共から米国に移行する方法について、さまざまな提案を聴取したと伝えた。

提案の一つは、ミャンマーの軍事政権と交渉し、少数民族武装グループ「カチン独立軍」との平和協定を推進するというものだ。もう一つの提案は、米国がミャンマーの軍事政権を迂回し、直接カチン独立軍と協力することを主張している。

関係者によると、提案者には米国の商業ロビイストやアウンサンスーチー前顧問、カチン独立軍との間接的な対話に関わる関係者、一部の外部専門家が含まれている。

提案者たちは、米国政府に対してミャンマーに課す予定の40%の関税を引き下げること、軍事政権およびその同盟者への制裁を段階的に解除すること、インドと協力してミャンマーから輸出される重レアアースの加工を行うこと、そしてこれらの任務を遂行するための特使を任命することなどを提案した。

米国セントトーマス大学国際研究講座の葉耀元教授は、「もしこの方法に可能性があるとすれば、中国が米国と関税について協議を行う際や、両国間の協力と競争について話し合う際に、その切り札がますます少なくなるだろう。これは米中関係に劇的な変化をもたらすことは間違いない」と述べた。

ロイター通信の報道によれば、米国政府は現時点でいかなる決定も下していないとしている。専門家は、現段階では大きな障害が存在するものの、仮にこの構想が最終的に実行に移される場合、ワシントンはミャンマーに存在する豊富な重レアアース鉱床の大部分を支配する少数民族の反政府軍との協定が必要になる可能性があると指摘している。

台湾国防安全研究院戦略・資源研究所の蘇紫雲所長は、このようなアプローチを取る場合、米国政府にはまだ長い道のりがあるものの、正しい方向に進んでいると述べた。現在、西側諸国はレアアース供給戦略を見直しており、レアアースはトランプ大統領が南北両面から中共の影響圏を崩壊させる大戦略の一部であると説明した。

蘇紫雲氏は「実際、ミャンマーはトランプ政権1期目の時点で、中共の東南アジアにおける影響力を削ぐ戦略的拠点と見なされていた。本来はミャンマーを取り込む意図があり、武器の売却さえ検討されていたが、その後クーデターが発生し、現在は反政府軍への新たなアプローチが模索されている。もし成果が上がれば、当然ながら複数の効果が期待できる。一つ目はレアアースを確保できること、二つ目はミャンマーを中共の影響から引き離せること、三つ目は地政学的影響の削減だ。特に、ミャンマーのチャウピュー港は中共がインド洋に設置した重要な基地であり、この一連の動きは“一石三鳥”の効果があるのだ」と述べた。

2021年にミャンマー軍が民選政府を転覆させて以来、ワシントンは軍事政権との直接的な接触を避け、軍事政権指導者に対する制裁を継続してきた。最近、トランプ政権は軍事政権の側近数名に対する制裁を解除したが、米国政府関係者はこれがミャンマー政策における重大な転換を意味するものではないと説明している。

しかし、もし軍事政権と接触する事態となれば、米国のミャンマー政策において重大な転換が生じることになる。

葉耀元氏は「トランプ氏自身は、これらの国々が民主国家であるかどうかをあまり重視しておらず、米国の外交政策において民主主義の理念を必ずしも強調する必要はないと考えているようだ。そのため、トランプ氏にとって軍事政権との協力は極めて現実的な選択肢となるだろう。彼は自国の利益をどう守るか、交渉や協議を通じて最大の利益を得る方法を重視している。そのため、価値観そのものが変わっていると感じる。当然ながら、反発の声も出るだろうが、最終的に私たちが中国にレアアース供給を制約されることが正しいのかどうかは疑問だ」と述べた。

中国のレアアース精製生産量は、世界全体の約90%を占める。

ドイツメディアの過去の報道によると、中国が輸入するレアアースの多くは実際にはミャンマー産であり、主に北部のカチン州で採掘され、中国に運ばれて加工されているという。中共の税関が発表した2024年のデータによれば、中国のレアアース輸入の約3分の2がミャンマーからのものだ。

元ミャンマー米国商工会議所会長のアダム・カスティージョ氏は、米国政府関係者に対して、ミャンマーの主要な少数民族武装グループが中共による搾取に不満を抱き、米国との協力を望んでいることを伝えた。

関係者によると、米国政府関係者は過去数か月間、仲介者を通じてカチン武装グループとレアアース問題について複数回にわたる非公開の協議を行ってきたものの、この件はこれまで公にはされていなかった。

 

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