中国四川省江油市で発生した14歳少女への集団暴行事件と、それをきっかけとした大規模抗議の暴力鎮圧から1週間。民衆の怒りは収まらず、現場からネット空間へと広がり続けている。
8月9日、あるユーザーが通販サイトで江油市公安局宛てに「新鮮で超臭い牛糞(花の肥料)」や書籍『憲法』を購入した注文画面がSNS上で拡散された。
また、抗議当時の映像も検閲をすり抜け、一部は海外SNSに流出。その中には「人民警察は良心がある」と公安を擁護した男性が、発言直後に警察に拘束される場面もあり、物議を醸した。

一方、海外の民運勢力(中国共産党の一党独裁に反対し、民主化や人権を求めて活動する勢力)や国内の市民が、官僚や公安幹部の電話番号をSNS上で拡散。これにより江油市公安局長や市長の回線が相次いでパンクしたとの情報もある。
SNS上では、当局の検閲を避けるため、地名「江油」と同じ発音の「醤油」を隠語として使われ、関連動画のコメント欄を抗議で埋め尽くす動きが拡大。Bilibili(ビリビリ)では中国共産党党首・習近平が「中国人は中国人を打たない」と発言する映像が皮肉コメントで炎上し、運営側はコメント欄を完全閉鎖した。
さらに、怒りの矛先は江油の公安だけでなく、各地の軍警部門や四川省が準備する「ワールドゲームズ2025成都大会」の宣伝動画にも及んだ。公式アカウントやライブ配信は「四川がんばれ!」「醤油(江油)がんばれ!」といった書き込みで埋まり、次々とコメント禁止措置が取られた。
事件は、力で封じても民衆の怒りは形を変えて噴き出し続けることを示した。公安局に届いたのは、「あんたらのやっていることはクソだ」と言わんばかりの牛のふんと、「法を学び直せ」と突きつける憲法の本──それは市民の痛烈な皮肉であり、怒りの象徴だった。

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