米裁判所 グーグルにChrome売却命令せず 独占禁止法違反訴訟で判決

2025/09/03 更新: 2025/09/03

アメリカの連邦裁判官は9月2日、グーグルを相手取った独占禁止法訴訟で判決を言い渡し、同社が自社の検索サービスを優遇して提供する行為を禁じた。しかし、政府が求めていたChromeブラウザの売却命令は出さなかった。

ワシントンD.C.の米国地方裁判所のアミット・メータ(Amit Mehta)判事は、グーグルによる検索エンジン、ブラウザ、AIチャットボットを優先的に扱うための独占契約を禁じる判決を2日に下した。メータ判事はすでに昨年8月、グーグルがウェブ検索分野で違法な独占を維持していると認定していた。

ただし、メータ判事は、政府が求めたChromeブラウザ売却の強制措置は退けた。

判決文の中で同判事は「Chromeのデフォルト設定が、グーグルの検索分野における支配的な立場を強めていることは間違いない」と指摘する一方、「しかしChrome全体を切り離すことは、本件の解決策として妥当ではない」と述べた。

司法省は売却の必要性を裏付ける証拠を示せず、同要求は是正措置として過剰であると同判事は判断した。さらに、同社を分割することは「極めて大きな混乱を招き、リスクが高すぎる」と強調した。

「米国対グーグル事件」(United States v. Google LLC)は2023年9月に始まり、米司法省と複数の州が、グーグルがインターネット検索および検索広告市場で支配的立場を乱用し、「シャーマン法」(Sherman Act)に違反したとして提訴していた。これは米国で過去約30年間において最大規模の独占禁止訴訟である。

メータ判事の今回の判断は、政府の主張の一部を認め、グーグルに対し競合他社へ特定の検索インデックス、ユーザー行動データ、検索統合サービスを提供するよう命じた。この裁定により、グーグルの検索事業は最悪の事態を免れた。

また、同判事はグーグルの配信サービスに関する独占契約を禁じたが、同社がパートナー企業に対して支払いを行うこと自体は認めた。これはアップルにとって大きな勝利であり、同社は毎年iPhoneにおいてグーグルをデフォルト検索エンジンに設定する見返りとして約200億ドルを受け取っている。グーグルにとっても、検索利用の拡大とユーザー基盤の確保に欠かせない手段となっている。

今年4月、メータ判事は解決策を検討するために3週間の公聴会を開いた。今回の判決では、両当事者に対し最終的な裁定を決定するため、9月10日までに協議を行うよう命じた。

判決発表後、グーグルの親会社アルファベットの株価は同日の時間外取引で8.7%急騰し、アップルの株価も4.3%上昇した。

李馨
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