韓国のチョ・ヒョン(趙顯)外相は9月10日、米韓両国が新たなビザ制度の創設について協議を進め、今後韓国人労働者がアメリカで工場建設などに従事する際に拘束される事態を防ぐ方針であると述べた。
ICEなど複数の執行機関は9月4日、現代自動車グループとLGエナジーソリューションがジョージア州で運営する合弁バッテリー工場の建設現場で摘発を実施し、475人の労働者を拘束した。このうち約300人が韓国籍だった。
チョ外相は同日、ホワイトハウスでマルコ・ルビオ米国務長官と会談後、アメリカ側から「今回の拘留が今後の再入国申請に悪影響を与えることはない」との保証を得たと表明した。
さらに同外相は韓国が用意したチャーター機で9月11日に労働者を帰国させた。移送の際、ICEは拘留施設から空港までの間、手錠を使用しないよう配慮したと述べた。これは特例であり、本来の規定では送還対象者に手錠や足かせを科すことになっているが、今回は例外となった。アメリカ国土安全保障省および国務省はこの件に関してコメントしていない。
米韓政府が新ビザ制度で再発防止を協議
また同外相は、今回の事件を受け、韓国人向けの新たなビザ制度の創設に向けて米韓両国で協議を進める方針を示した。
韓国外務省の声明によれば、外相はルビオ長官との会談で「韓国人労働者は速やかに出国し、手錠をかけられることがないようにしてほしい」と要請したという。外相はまた、アメリカが「技術移転や製造業活性化のために訪れている韓国人労働者」を拘束したことについて「韓国国民は傷つき、深い衝撃を受けている」と伝えた。
韓国外務省によると、ルビオ長官はトランプ大統領から「迅速に協議し、韓国側の要請に最大限応えるように」との指示を受けていると伝えた。
一方、アメリカ側が会談後に公表した説明資料には韓国人労働者拘留問題は記載せず、ルビオ長官はアメリカの韓国への投資を歓迎し、双方の公平かつ互恵的な貿易関係の推進を強調した。また、防衛費分担の拡大についても議論が行われ、アメリカが韓国に一層の在韓米軍費用負担を求めていることがわかった。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は9月9日、記者団のビザ制度変更に関する質問に対し「国土安全保障省と商務省が調査中」と答えた。
トランプ大統領は9月7日、SNSで「外国企業がアメリカの移民法を守れば、迅速かつ合法的に従業員の入国を許可する」と投稿した。
韓国外務省によれば、現代自動車やLGの企業代表は、韓国の専門人材向けの新ビザ創設に向けて韓国政府とアメリカが協力すること、さらに投資・工場建設・経営の際に規則を明確化し、企業リスクを減らすよう求めている。
また韓国経済界の一部からは「アメリカによる技能系外国人労働者ビザの制限が厳しすぎて、工場建設や現地従業員の指導・監督が難しくなっている」との不満が上がっている。
今回拘留された労働者の多くは下請け企業の従業員である。韓国メディアによると、韓国人労働者は11日朝にバスで拘留施設を出発し、正午にチャーター機でアメリカを離れる。この摘発で日本人や中国人も数名拘束された。
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