トランプ氏「米軍はアフガニスタンへ再進駐を」中国核兵器監視の戦略強調

2025/09/19 更新: 2025/09/19

トランプ米大統領は、アフガニスタンのバグラム空軍基地を米軍が再び掌握し、中国の核兵器を監視強化すべきだと訴えた。

キア・スターマー英首相との共同記者会見で、トランプ氏は同基地を「世界最大級の空軍基地のひとつ」と表現し、それが「中国の核兵器製造拠点からわずか1時間の距離にある」と明言した。

バグラム基地をアメリカの支配下に戻すには、2021年8月以降アフガニスタンを統治しているタリバン政権との交渉が不可欠とされる。

アメリカはタリバン政権を正式には承認していないものの、米政府高官らは既にタリバン指導部と接触し、アフガニスタンで拘束されているアメリカ人の解放について協議している。

トランプ氏の人質問題担当特使アダム・ベーラー氏と、2018年~21年アメリカとタリバンの首席交渉官を務めたザルメイ・ハリルザド氏は、この数か月間に繰り返しカブールを訪問している。

アメリカ政府の分析によれば、中国共産党(中共)は近年急速に核兵器庫を拡大しており、2030年までに核弾頭1千発、2035年には1500発に達すると予測している。

トランプ氏の発言は、アメリカが中共の核戦力拡張に対する警戒を一層強めている流れと一致している。

CIAで中国軍事問題を担当した元上級専門家で、現在はジョージタウン大学の研究員を務めるデニス・ワイルダー氏は、英紙「フィナンシャル・タイムズ」に対し、トランプ氏が言及したのは新疆ウイグル自治区の砂漠地帯に位置する核実験場「ロプノール」である可能性が高いと指摘した。

バグラム基地の戦略的価値とは

ワイルダー氏は「ロプノールからバグラムまでの飛行距離は約2千キロであり、中国の最新鋭戦闘機であれば1時間ほどで到達可能だ」と述べた。

こうした距離と位置関係は、同基地が監視や戦略上持つ潜在的価値を浮き彫りにしている。

バグラム基地はカブールの北約40マイルに位置し、二本の大規模なコンクリート滑走路を備える。2001年以降は長年にわたり米軍の対テロ作戦の中心として機能し、戦闘機や輸送機、無人機の拠点として利用してきた。

同基地は2021年7月にカブール当局へ引き渡され、翌月にはタリバンの手中に落ち、その後の利用は限定的となった。

トランプ氏は自身の前回の任期中に米軍のアフガニスタン撤退合意をまとめたが、その計画は2021年にバイデン大統領に引き継がれた。想定以上に早いタリバンの攻勢により首都カブールは陥落し、米軍の撤退は大混乱に陥った。撤退時にはカブール空港で大規模なテロが発生し、米兵13人が犠牲となり、バイデン政権の混乱した対応は厳しい批判を浴びた。

この件についてトランプ氏は「本来であれば我々は力と威厳をもってアフガニスタンから撤退するはずだった。バグラム空軍基地―世界最大級の空軍基地の一つ―を保持する計画だったのに、それを無償で譲ってしまった」と強調した。

現時点でアメリカがタリバン政権とバグラム基地再進駐に関する協議を直接あるいは間接的に進めているかどうかは明らかでない。ただ、トランプ氏はタリバン側が米軍復帰を歓迎する可能性があるとの見方を示している。

タリバンは2021年に政権を奪還して以来、経済危機、国際的承認の欠如、内部対立、敵対武装勢力との衝突など多くの課題を抱え続けている。

トランプ氏は「我々は基地を取り戻すために努力している。彼らは我々の資源を必要としている。われわれはあの基地を取り戻すつもりだ」と語った。

陳霆