デンマーク警察は9月25日未明、複数の無人機が空域に侵入したことを受けて、オールボー空港(Aalborg Airport)を緊急閉鎖したと発表した。これにより複数の便が影響を受けた。2日前にはコペンハーゲン空港も無人機の出現により4時間閉鎖されており、再び空港が妨害を受けたことで、欧州全体で航空安全への警戒が強まっている。
警察によれば、空港周辺で「1機以上」の無人機が出現し、ライトを点灯していたという。最初の目撃は24日午後9時44分(グリニッジ標準時)で、25日未明になっても離脱していなかった。無人機の飛行パターンはコペンハーゲンの事案と類似しているが、同一の発信元によるものかは現時点で確認されていない。また、オールボー空港は軍用基地としての役割も担っているため、デンマーク軍にも影響が及んでいる。
欧州航空管制機関「ユーロコントロール」は、オールボー空港の離着陸数を「ゼロ」に設定し、25日午前4時までに少なくとも3便が他の空港へと目的地を変更した。
軍事拠点への関与と国境を越えた連携調査
ユトランド半島北部に位置するオールボー空港は、軍民共用の施設であり、デンマーク国防において重要な拠点である。警察は軍が捜査に加わっていることを認めているが、詳細は明かされていない。
一方、南ユトランド地域にあるエスビャウ、スナボー、スクリュズストロプといった空港周辺でも無人機の出現が確認されている。中でもスクリュズストロプ空軍基地は、F-16およびF-35戦闘機が配備されている戦略拠点である。
デンマーク国家警察長官のトーキルド・フォグデ氏は、コペンハーゲンの事件以降、多数の無人機の目撃情報が寄せられていると明かした。大半は深刻な脅威とは認められなかったが、オールボーの事案は「特に注視すべき状況」であると述べた。
現在、デンマーク国家情報機関および軍は、ヨーロッパ各国と連携して調査を進めている。警察は、事件による乗客や住民への直接的な危害は確認されていないと強調している。
欧州全体が継続的な警戒体制へ
今週、コペンハーゲン空港が無人機によって一時閉鎖された事件は、デンマーク政府により「これまでで最も深刻な重要インフラへの攻撃」と位置付けられており、ロシアによる妨害行為の可能性も指摘されている。一方、ロシアの駐デンマーク大使は、これらの疑惑を全面的に否定している。
また、隣国ノルウェーでも22日夜、無人機の出現によりオスロ空港が一時閉鎖された。ノルウェーの外相は、現時点でコペンハーゲンの事案との直接的な関係を示す証拠はないと述べている。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、今回の一連の事件は欧州の国境が「継続的な対立状態」にあることを浮き彫りにしていると指摘。重要インフラがすでに脅威に晒されているとした上で、欧州として断固とした対応を取る姿勢を強調した。
(本記事はロイター通信の報道を参考にしている)
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