カリフォルニア州サンブルーノ市で、ウェイモ(Waymo)社の自動運転タクシーが交通違反で警察に停止させられる事案が発生。しかし運転者が不在のため違反切符を発行できず、法規制の課題が浮き彫りになっている。
サンブルーノ警察署は9月28日、この出来事を公式SNSに投稿した。発表によれば、9月27日早朝、飲酒運転の検問を行っていた警官の目前で、Waymoの自動運転タクシーが禁止されているUターンを行った。警官が車両を停止させ確認に向かったところ、車内には誰も乗っておらず、現場は一時的に驚きと笑いに包まれたという。
警察によれば、同署が自動運転車の交通違反を取り締まるのは初めてであり、「違反切符の様式に自動運転車を想定した欄が存在しない」ため、交付ができなかったと説明している。同署はすでに議会に法整備を求めており、今後は企業などに直接違反通知を発行できるよう制度改正を働きかけている。
警察はSNSにおいて、警官が車内を覗き込む写真を掲載し、「運転者なし、ハンドルもなし、手掛かりもなし」とコメントした。今回のケースは「システム障害」と分類され、Waymo社に対してフィードバックが送付された。
さらに警察は声明で「Waymo社に対し、プログラムの見直しを求め、同様の違反行為が再発しないよう徹底を要請している。運転者や乗客、たとえ無人車両であっても、我々は引き続きサンブルーノの街を守る責務を果たす」と述べた。
今回の出来事は、自動運転車をめぐる法規制や交通安全への関心を改めて呼び起こすこととなった。
サンブルーノ警察署のSNS投稿には500件以上のコメントが寄せられた。警察がWaymo社に違反切符を交付しなかったことに対し批判の声がある一方で、「どのようにしてその車両を停止させたのか」といった疑問を呈する意見も見られた。
警察によれば、現行法では「人間の運転者や操作員」にしか違反切符を発行できず、駐車違反切符のように車両に直接貼り付けることもできないという。
現在、カリフォルニア州の法律では、自動運転車に対して運転違反の切符を交付することはできない。しかし、来年から新法が施行されれば、警察はこのような違反事例を州車両管理局(DMV)に報告できるようになる予定である。DMVは新法の運用に向け、違反処理の方法や罰則内容などの詳細を検討している。
Waymoは自動運転車を開発する企業であり、Googleの親会社であるAlphabetの子会社である。同社は現在、フェニックス、ロサンゼルス、サンフランシスコ、カリフォルニア州南部地域、そしてサンブルーノ近郊において自動運転タクシーサービスを展開している。
Waymoの広報担当者は「本件について調査中であり、今後も道路安全の向上に向けて不断の改善に努める」とコメントした。
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